大阪に本社を持たれている(株)イングの青木辰二代表が
平成19年4月〜平成20年9月の間に産経新聞夕刊に連載
されましたコラムを毎週水曜日に1本ずつご紹介します!
是非、子育ての参考にしてみてください!


2016.03.02 新たな始まり 卒業!

 卒業式のシーズンになりました。そして入学シーズンもまもなくです。

 この時期、特に受験勉強を経て入学する子供たちは、卒業や入学の喜びとともに、「受験勉強からの解放」の喜びに浸っています。「もう受験勉強をしなくていい!」と喜ぶ気持ちはよくわかります。しかし、気になるのは、それで燃え尽きたように勉強をしなくなる子供が結構多くいることです。

 たとえば高校受験に合格し、高校に進学するということは、新しく高校で学ぶ機会が与えられたことを意味するのですが、その意味を見失った子供たちは高校で自分のするべきことが見いだせません。

 最近の文部科学省の資料によると、高校の中途退学の理由として一番多いのは、「学校生活・学業不適応」で全体の38.6%。その中でも「もともと高校生活に熱意がない」という理由が15.4%を占めています。なんとなく進学した子供の多いことがうかがえます。

 高校や大学に合格することは一つの身近な目標ではありますが、それが目的ではありません。高校や大学で学ぶことにより、知識を深めるとともに能力を高め、自分の夢をかなえる力を得ることが大切なのです。

 卒業とは、すべてが終わるという意味ではなく、身につけた力を生かして挑む、新たな始まりを意味しています。われわれ大人(親)は、日頃からそれを頭において、子供たちと将来について語りたいものです。

<2008年3月7日 産経新聞 夕刊>

 

2016.03.09 親子の絆!

 近年、親が子供を、また逆に子供が親を傷つけたり、殺害したりする事件が増えています。親子のきずなが弱くなっているのかもしれません。

 親の利己的な考えから、放任というより関心すら持ってもらえない子供たち。逆に親の過保護・過干渉のために自立できない子供たち。どちらも深刻な問題です。

 イングのある地域で小4〜中3生約600人にアンケートを実施しました。その中で「家族と将来について話しますか」とたずねたところ、「あまり話さない」「話さない」と答えた子供が73%にもなりました。

 これは、本当は親の言葉が子供に届いていないだけなのかもしれません。うわべの言葉でなく、子供にまっすぐ向かい、働く意味や自立について、親の経験を伝えたり、子供の考えをじっくり聞いたりしてやる。そんな時間が時には必要です。言い合うこともなく、ある程度の距離を保つ、「気兼ね」する関係では本当の意味での親子のきずな(信頼関係)は築けません。

 時には子供の前に立ちはだかる大きな壁となってそれを越える強さを育て、また時には横に寄り添い励ます。そんな繰り返しが子供の自立につながり、親子のきずなを深めるのです。

<2008年5月2日 産経新聞 夕刊>

 

2016.03.16 気づき力!

 「うちの子に限って…」「そこまで思いつめていたとは、心の奥まで見えていなかった…」

 いずれも事件を起こした子供の親の声です。

 「普通の子」の「いきなり型」非行が増えているそうです。でも子供にとっては「いきなり」ではなく、爆発までに積もり積もった何かがあるのでしょう。「親に心配をかけたくない」「自分がいじめられていることを伝えてショックを与えたくない」などの理由で、悩みを親に隠している子供も多くいます。

 「自分の子供のことはよくわかっている」「普段から話す時間はとっている」―親自身はそう思っていても、気づけていないだけかもしれません。よく見ていると普段と違う子供のサインに気づくものです。身体の不調を訴えたり、服装が派手になる、学校へ行くのをしぶる、些細なことに興奮するなど、行動に表れたりする場合もあります。

 われわれ大人(親)はそのサインを見逃していないでしょうか。わざと目を背けていないでしょうか。まっすぐ向き合い、じっくり話を聴き、その背景にある心の状態を理解し、受け止めてやる。まずは気づくことが何よりも大切です。

 「気づき力」を高めましょう!

<2008年6月13日 産経新聞 夕刊>

 

2016.03.23 目を見る!

 あるとき、教室の子供たちに尋ねてみました。「気持ちのいい挨拶ってどんな挨拶?」「大きな声!」「笑顏の挨拶!」。ほとんどの生徒がそう答えます。そんな中で、こう答えてくれた生徒がいました。「相手の目を見てする挨拶!」。はっとさせられることばでした。

 われわれ大人(親)はどうでしょう。職場では、パソコンや机に視線を落としたままでの挨拶になっていませんか?家では、テレビを見ながらの挨拶になっていませんか?客観的にこの状況を思い浮かべると、何かぞっとする景色を見る思いがします。

 私たち講師が授業をするうえでもっとも大切な動作は、子供の目を見ることです。子供の目も見ずに、テキストだけを見て授業している講師は二流三流です。プロの講師は、目を見ることで子供の理解度を把握し、信頼を築いていきます。

 さて、ご家庭ではどうでしょうか?子供の「ただいま!」「おかえり!」を、しっかりと目を合わせて受け止めているでしょうか。子供のメッセージを背中で受けてはいないでしょうか。

 明日は、とびきりの笑顔を添えて、明るい声で、目と目を合わせた挨拶をしてみませんか!

<2008年7月25日 産経新聞 夕刊>

 

2016.03.30 がまん!

 ひと昔前のことを思えば、隔世の感があるほど世の中は便利になりました。秒単位で世の中は変わりつつあります。暮らしを便利にしてくれる恩恵に感謝する一方、いったいどこまで行くのだろう…と、いささか不安に思ったりもします。

 この便利さが広まる速度に比例して、急速に失われているものがあるような気がします。それは「がまんする」ということです。

 今の時代、それほどがまんしなくても、耐えなくてもいい世の中になりつつあります。「やりたい」と思えばすぐできる時代。「やりたくない」と思えば容認される時代。「がまんする」という言葉は、死語になってしまうのでしょうか。

 「がまんできない」ことの害は、色々な場面で現れてきています。少し古くなると、がまんできずに新しいものを欲しがる子供。授業中じっと座っていられずに立ち歩く子供。すぐキレて衝動的に事件を起こす青少年。仕事・学校が続かない若者…。

 「がまんできる」かどうかが、人間と他の動物との違いです。自己本位ではない、他人に対する思いやり。そして忍耐力。私たち大人(親)が実践し、子供たちに示したいものです。

<2008年5月30日 産経新聞 夕刊>

 




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