子どもは親のしつけをどう思っている?
前回は、家庭教育においてどんなことを心がけているかについてともに振り返ってみました。導入として、公的な調査の結果資料をご紹介しましたが、最も多かったのは、
1.悪いことはきちんと叱る
2.子どもに毎日、朝食を食べさせる
3.子どもの努力を認める
というものでした。
これらは、行動規範を植えつける、健康維持、前向きな姿勢の育成などを意図するものでしょう。これだけを見ても、家庭教育にはいろいろ役割があることが伺えますね。みなさんが日頃心がけていることと一致しているでしょうか。ご紹介したリスト以外で、みなさんが気持ちを注いでおられることもあるでしょう。それもまた、「わが家の方針」として大切にしていただきたいですね。
さて、今回は前回の内容を受け継ぎ、小学生の家庭教育の中心的な存在である、「しつけ」にスポットを当ててみようと思います。みなさんのご家庭では、お子さんのしつけはどなたが主に引き受けておられますか? まずは公的な調査の結果をご紹介してみましょう。なお、他国との比較もされていますので、それも参考にしてみたいですね。この資料は、文部科学省のサイトにあったものです。
父母の子育て役割分担:しつけをする
「子どもの育ちをめぐる現状等に 関するデータ集」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2009/03/09/1236114_3.pdf)を加工して作成
この資料を見て、「やはり」と納得されましたか? 最近では、子どものしつけは父親と母親が協力してやるものだ」という考えが一般的になりつつあるようです。私の子どもの頃は、そうではなかったと記憶しています。ただし、他国と比べると母親のみが担っている家庭の割合が高いという結果も出ていますね。スウェーデンでは、父母の両方でしつけをしている家庭の割合が約73%もあります。「主に父親がする」の割合は日本がいちばん低く、僅か4.2%でした。これはここで紹介されている国の中でいちばん低い数値です。このことをとっても、日本家庭でしつけを担っているのは主におかあさんであることがわかりますね。お隣の韓国と比較しても、父親がしつけに関与している割合が低いことがわかりました。
子どもに対するしつけが厳しいか甘いかは、絶対的な根拠や基準が明瞭ではないために判断が難しいのですが、「子どもの側がどう受け止めているか」という観点から、ある程度判断できるでしょう。これについても、調査資料がありますので、ご紹介してみましょう。
父母のしつけについてどう思っているか
「子どもの育ちをめぐる現状等に 関するデータ集」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2009/03/09/1236114_3.pdf)を加工して作成
全体的に、日本のおとうさんおかあさんは穏やかなしつけをする傾向があるようです。それでも、子どもはどちらかというとおかあさんのしつけのほうに厳しさを感じていますね。やや厳しいという回答が、おかあさんのほうに41.4%あり、おとうさんのほうは28.1%でした。いっぽう、「やや甘い」という回答はおとうさんのほうに多くみられました。
親のしつけが甘いか厳しいか。それを自分である程度判断できるようになるのは児童期の後半ごろだと思われます。したがって、「どちらとも言えない」や「わからない」という回答が多くあるのは頷けます。特におとうさんのしつけに対しては両方合わせて4割を越えています。おそらく、家庭での親子接触の時間がおかあさんに偏っており、おとうさんと一緒の時間が少ないことも原因の一つであろうと思います。忙しいおとうさんにも、何とか時間をやりくりして子育てに参加していただきたいですね。
最後になりますが、日本の親、特におかあさんは子育てやしつけを辛いと感じる傾向が強いと言われています。これは、国際比較調査の結果にも表れていました。みなさんはどうですか? 毎日の生活においてしつけに苦慮し、「辛い」と感じる場面がどのくらいあるでしょうか。もしもそういった傾向があることを自覚されているなら、気持ちの入れ替えを試みてみてはいかがでしょうか。どういうことかというと、「自分のやれることをやったら、あとはなるようになるさ」と考えるのです。また、「親の気持ちを伝えたら、子どもはすぐに態度を改めなくても、必ずわかってくれるものだ」と信じるのです。いわゆるプラス思考に切り替えるわけです。実際、その通りなのですから。
<押さえておきたい!> しつけは夫婦連携の下、プラス思考で根気よく!
1.おとうさんは、もっとわが子のしつけに参加しましょう
他国と比べ、日本のおとうさんは子どものしつけに参加しない傾向があります。しかし、おとうさんだからこそ効果的なしつけができる分野もあります。社会的な視点に立ったしつけなどはおとうさんに適任でしょう。おかあさんは負担が軽減される分、しつけに際して気持ちに余裕をもつことができます。シングルマザーのかたは、おとうさん的な視点を意識してもつようにするとよいでしょう。
2.しつけはプラス思考で!また、親同士で悩みを共有しましょう
子どもは思うに任せない存在です。ですが、思い悩んでもよい方向には向かいません。「やることをやったら、「あとはなんとかなるさ」と達観することも大切です。しつけや子育てについて本音で語り合える友人をもつ人は、深く悩まないばかりか、楽しさを感じる傾向があります。これも、悩みを共有することでプラス思考に切り替えられるからでしょう。周りに、お子さんをおもちのかたはおられませんか? そういうかたと、しつけの困りごとを共有できる関係を築くとよいのではないでしょうか。