勉強を苦痛なものにしないための方法って!?
前回は、学習効果が期待できる条件を、4つの例をあげてご紹介しました。今回は、それとの合わせ技で、効率的に学力を伸ばしていくための提案をしてみようと思います。
勉強というと、大概のお子さんは「したくない」「辛い」と嫌がりますが、こうしたネガティブなイメージを払しょくしたいものです。気持ちのもちようで成果はずいぶん変わりますから。どうしたらよいでしょう。保護者としては、「勉強の面白さを味わったなら」「勉強を好きになってくれれば」「成績が上がれば」などを期待されるのではないかと思います。ただし、これらは偶然に生じるものではありません。ある程度勉強によい流れができてこそ生まれる現象です。
では、勉強によい流れを築くにはどうしたらよいでしょう。勉強を苦痛なものと感じなくなるための最も確実な方法は、毎日の日課として習慣づけることです。「それなら、これまでも子どもに言い聞かせています」とおっしゃるかもしれません。しかし、子どもの心の内を想像してみてください。「おかあさんが言うからしかたなくやっている」というのが現実かもしれません。これでは習慣は本物になりません。ここで言う習慣とは、子どもが「毎日予定通りに勉強をするのは当たり前のことだ」「決めた勉強をやらずにはいられない」というレベルに到達することを意味します。
学習心理学では、習慣を「後天的に獲得された定型的・自動的反応様式である」と定義しています。このことから、生まれながらの才能ではなく、何らかの働きかけやきっかけを起点にして、自然と規則的な行動として定着したものだということがわかります。はじめは親からの働きかけで始めたことであっても、やがては子ども自身が毎日勉強を決めた時間に自発的にやるようになってこそ、習慣化したと言えるでしょう。上述のように、「おかあさんが言うからしかたなく」という状態は、まだ習慣化の途上にあるということを意味します。つまり、あと一押しが足りていません。
では、どうやったらよいのでしょう。まずは、現在の毎日の学習計画を見直すことをお勧めします。やるべきことをよく吟味し、無理なく継続できる計画になっているでしょうか。計画の見直しの際は、現状の点検と問題点の洗い出しをできるだけ子ども自身にさせ、親はアドバイス役に回りましょう。

1.まずは、取り組むべき課題を洗いざらいリストアップしましょう。
家庭で必ずやっておくべきことをリストアップし、それらがうまく実行されているかどうかを点検しましょう。時間の過不足、実行できているかどうかなどへの目配りも重要です。
2.1週間のなかで、塾や習い事に通う日がどれだけあるかを再チェック!
1週間のなかで、何曜日が塾や習い事で埋まっているのかを再確認しましょう。週に4日以上あると、家庭勉強をうまく回せなくなりがちです。
3.曜日ごとに、勉強の成果が見込める時間帯がどれだけあるか点検します。
塾や習い事のない日は家庭勉強にとって重要な日です。前回のコラムでご紹介した、勉強の成果が見込める時間帯を軸に、どれだけ家庭勉強のための時間が割けるか点検しましょう。
4.やるべき勉強がうまく組み入れられた学習計画を完成させましょう!
塾や習い事のある日とない日とを考慮し、必要な勉強がうまく配分されるよう計画に振り分けましょう。帰宅時間が夜になる場合、その日は塾の復習や学校の宿題などに充てるとよいでしょう。
5.家庭勉強の継続性を高める仕掛けを工夫しましょう!
家庭勉強の継続にあたっては、何らかの励みも必要です。たとえば、マス目の入った大きめのカレンダーを壁に掛けておき、予定を済ませたらスタンプを押すようにすると励まされます。
学習計画の練り直しにあたっては、なるべく子どもの考えを尊重し、子どもに「自分が立てた計画だ」という意識をもたせることが肝要です。ただし、低~中学年児童はまだ自分で妥当な判断ができないケースが多いと思います。保護者におかれては、「これはいつやったらいいと思う?」などと投げかけつつ、子どもの考えが妥当でないと判断した場合、問題点を指摘してもう一度考え直すよう促すなどのフォローも必要でしょう。イライラすることも多々あるでしょうが、ここが辛抱のしどころです。
5で示したような、がんばりの軌跡が視覚的に確かめられるような仕掛けも考えてあげてください。私自身、この夏から肥満対策のために早朝のジョギング&ウォーキングを励行していますが、怠けたくなる気持ちへの対抗策として、やり終えたら「実行カレンダー」にスタンプを押すことにしました。いい年をして恥ずかしいのですが、「やったぞー!」というポーズをとった人型のスタンプが並んでいくのを見ると、やらずにはいられなくなりました。励みが怠け心に勝ったのでしょう。まして小学生の子どもなら、継続に向けた方策として大いに効果が期待できるのではないでしょうか。
良い習慣は一生の宝だと言われています。決めた時間にサッと机に向かい、勉強を要領よく済ませる学習習慣もその一つです。習慣は年齢的に早いほど身につけやすく壊れにくいと言われます。確固たる学習習慣を小学生までに身につければ、先々の長い学びの人生においてどれほど役立つかは、どなたも容易に想像がつくのではないでしょうか。
遊びの時間から勉強の時間への切り替えにあたっては、「時間になったけど気が進まない」「もうちょっと遊んでいたい」という気持ちとの葛藤がつきものですが、習慣づけがうまくいくと自然と体が机に向かわせてくれるようになります。つまり、習慣は「決意」や「努力」という重い足かせから子どもを解放してくれるのです。そこに至るまでが親のがんばりどころです。

実際、学習状況がすばらしい子どものおかあさんに、「がんばっておられますね。何か秘訣があるのですか?」と尋ねると、「いえ、特に秘訣なんてありません。塾に通い始めたころは少し苦労していましたが、今は塾の勉強をやるのが当たり前だと思ってやっているようです」という返事をいただきました。この「やるのが当たり前になる」ことこそ、学業成就の最大の秘訣なのだと教えられたしだいです。
おたくのお子さんから、「やるのが当たり前になった」という言葉が聞けるようになるといいですね。その日が訪れるまで、辛抱強くお子さんと話し合い、サポートしてあげてください。

