夏休みを契機に、学習を軌道に載せましょう!
「夏真っ盛り」の暑い日が続いています。中学受験をめざしているお子さんの大半は、学習塾の夏休み講座に通っておられることでしょう。家庭と塾との往復においては、炎天下の移動を余儀なくされます。体調の管理を怠らないよう気をつけてあげてください。特に十分な睡眠と水分補給は必須です。
さて、夏休みの講座に限らず、学習塾では定期的にテストが実施されると思います。テストは、日頃の学習成果を確認するという目的のほか、子どもたちが学習成果を競い合う場を定期的に設けることで、意欲的な取り組み姿勢を引き出そうという意図もあります。自分のやれる精一杯を尽くしてテストに臨む。そしてその結果を検証し、問題点を洗い出しては修正していく。この繰り返しを通して、伸び盛りの子どもたちはどんどん力をつけていきます。特に夏休みは学校とのダブルスクールによる負担がなくなりますから、計画通りに勉強を進めやすく、一気に学力を伸ばす子どもが少なくありません。
そこで今回は、学習塾に通って成果をあげ、受験準備学習の確かな足がかりを築くためにはどうしたらよいかを共に考えてみようと思います。一般に、受験準備に必要な期間は2~3年と言われていますから、ここでは小学4~5年生ぐらいのお子さんを想定してお伝えします。
本題に入る前に、保護者の方々に質問があります。おたくのお子さんは、つぎのうちどのタイプに当てはまりますか?
おたくのお子さんはどのタイプ?(テストと勉強への関わり)
A. 普段はあまり勉強しないが、テストで好結果を得ると俄然やる気を高める。
B. テストの結果が思わしくないと、「これではいけない」とがんばり始める。
C. テストの結果に関わらず、いつもせいいっぱい勉強に励んでいる。
D. やる気満々になったかと思うと、急にテスト勉強を放って遊びだす。
E. いつも勉強を嫌がり、テストがあろうとなかろうと遊んでばかり。
欧米に多いタイプはAだと言われます。普段はあまり勉強しないし、テストで悪い成績をとってもどこ吹く風。そのいっぽう、テストでよい成績を取ったら俄然やる気を出し、がんばり始めます。こうしたことがきっかけで、得意分野で一気に能力を開花させる子どもの例をよく耳にします。Cは、日本の親の多くが望む子どもの典型的タイプです。しかしながら、親の期待に反してこのタイプの子どもは少ないようですね。小学生の子どもはやる気にムラがあり、Dタイプの子どもも少なくありません。こういう子どもは概して才能に恵まれています。ちょっとやったらすぐ結果が出るので、勉強をなめてしまいがちです。そのつけを中学高校生になってから払わされるので注意が必要です。なお、Eタイプの子どもは本コラムの読者の家庭にはほとんどおられないと思います。
さて、残るはBタイプの子どもです。実は、日本の子どものメンタリティが最も反映されているのはこのタイプです。みなさんも、わが子をBタイプと判定されたかたが多かったのではないでしょうか。こういうお子さんは、 やるべきことはわかっているのに今一つがんばり切れません。「もうちょっとがんばらないと」という自覚はあっても、つい遊びの誘惑に負けてしまいます。その結果、テストでは残念な結果がもたらされることになります。そこで、「やっぱりなまけたからだ」と反省し、つぎのテストに向けてがんばり始めます。さて、そのあとはどうなるでしょうか。

上図のように奮起が長続きせず、なかなかがんばり通せない子どもが多いようです。もしもつぎのテストで挽回していれば、こんなことにならなかったかもしれません。どうしたらよいでしょうか。いちばん大事なのは、努力が実を結ぶ経験をつなげていくことに尽きるでしょう。問題は、「何をどうがんばるか」です。ズバリ言えば、復習をしっかり継続することです。そうして、小さな成功体験を繰り返したなら、テスト成績は上位に安定していきます。がんばりやのCタイプになれるでしょう。
以下は、受験基礎学力をしっかりと身につけるために、塾の授業を軸とした望ましい復習のありかたについてまとめたものです(夏休みに限定せずに書きました)。参考にしていただき、お子さんの勉強に取り入れていただければ幸いです。

テスト結果を安定させるための復習
1.「授業」を受けた日に「復習」をする習慣をつける
塾の授業日には、帰宅後の勉強時間が限られます。そこを工夫し、20~30分でもよいからその日のうちに復習しましょう。学習で頭に残る記憶は「意味記憶」と呼ばれ、「入りにくく、出しにくい(記憶に残りにくく、テストで思い出せない)」のが特徴です。授業後、学んだ内容を早めに繰り返し脳にインプットすると、それだけ記憶に残り易くなります。授業から時間がたつほど忘却が進んで復習の効果は薄れます。特に、「最初の復習は“早めに!”」が原則です。
2.授業でのできごととセットで学習事項を記憶する。
授業で、先生は子どもに興味をもたせようと工夫して話をしています。その説明や、他の子の反応なども含め、授業で生じたやりとりに耳を傾けることが大切です。「この解きかたは、授業中に先生がこんな事例を使って話してくれたものだ」「E君がユニークな発想を披露した問題だ」などのように、授業のエピソードと一緒に学習事項を脳にインプットすると、「覚え易く、取り出し易い記憶」になります(できごとの記憶を「エピソード記憶」と言います。この記憶は、記憶に残り易く、再現し易いのが特色です。エピソード記憶を意味記憶に絡ませるのが学習事項を忘れないためのコツです)。
3.わからないことは無理に覚え込もうとしない。
復習しても全然わからないこともあります。そんなときには、基本的なところをやり直し、難しい内容には手をつけないことです。課題を全部やろうとすると莫大な時間がかかり、しかもほとんど記憶に残りません。あげくに脳が疲弊・混乱してしまい、テストのときにわかっているはずのことまで思い出せなくなります。一生懸命考えて理解できるところまでやったら、それだけで十分な進歩が得られます。難しすぎる課題には手をつけない勇気をもちましょう(やり直しの機会は必ずあります)。
4.あらかじめ決めた時間枠の中で最善を尽くす。
「頭がよい」と周囲に感じさせる子どもは、時間や労力に頼らない勉強をしています。復習もテンポよくあっさり済ませています。いっぽう、学習成果のあがらない子どもは、やたらと勉強に時間をかけています。また、保護者もがんばりの尺度を勉強時間に求めがちで、全部やることを期待する傾向があります。しかし、このような非効率的な勉強では頭はよくなりません。決めた時間枠内で、自分の知力を総動員して取り組むほうが頭脳は鍛えられます。
5.「理屈を理解する→覚える」という順序を意識する。
テスト前の復習とは言え、成績だけを目当てにした丸覚えは望ましくありません。ほんとうの力にならず、すぐに忘れてしまいます。今やっている勉強は、やがてやってくる入試本番に通用する学力を身につけるためにあります。4~5年生のうちは、基礎内容の習得が大きなテーマですから、単元の導入部分や例題を精読すること、先生の説明をしっかり聞くことを基本におき、単元の理屈を理解するような勉強を心がけましょう。そのうえで「覚えておく」ということを意識するのです。それが後々生きてきます。

どうでしょう。上記のような取り組みなら、テストの点数や順位のことはともかく、お子さんにとって苦痛にならないと思います。「授業をしっかりと聴く」「復習を無理のない範囲でする」ということを、当然のこととなるよう習慣づけましょう。小学生の勉強は、「時間枠の中で集中して取り組む」ということを繰り返しながら頭の働きをよくしていくことが肝要です。勉強の態勢もできていないのに、強い負荷をかけると、勉強嫌い、吸収力の欠如といった問題が生じかねません。
「復習」が根づき、成績が安定してくると、子どもはしだいに負荷のかかった勉強を自らに課してでもがんばろうとするようになります。そうなってやっと一人前の受験生になったのだと言えるでしょう。そこまでが大変ですが、いったん流れができると、大人に無理強いされてやる勉強とは次元の違う、ほんとうに頭のよい学習者へと成長していけることでしょう。

