将来の飛躍の礎となる中学受験にするために
1月も後半を迎え、いよいよ中学入試たけなわのシーズンに突入しています。受験生のみなさんにおかれては、これまでに培った学力を余すところなく発揮していただきたいですね。そのためには体調とメンタルの管理を絶対に怠らないことです。保護者におかれては、夜更かしをしたり今更の無理な詰込みをしたりせず、これまでの生活パターンを維持するようご配慮ください。
さて、本コラムをお読みの方々のなかには、お子さんの中学受験準備の開始を検討されている保護者も多数おられることでしょう。周囲に中学受験を経験した人がなかったり、親も中学受験を経験しておられなかったりした場合、ともすれば中学受験に関する根拠のない情報に振り回されるケースもあるようです。たとえば、「中学受験は大変なものだ。難しい勉強に耐え、大量の知識を詰め込まなければならない」などのうわさを耳にしたことはありませんか? 決してそのようなことはありません。そもそも中学受験は、わが子の将来の大成に向けて道をつけるためにするものです。そのことを前提にしたなら、地に足のついていない勉強は無意味だとお気づきになることでしょう。
そこで今回は、お子さんの伸びしろを広げるうえで重要な鍵を握る親の関わりについて、いくつかのポイントをあげてみようと思います。これから中学受験をめざした勉強の開始を検討しておられる保護者、次の年度の講座の開始を前に親としての心構えをリセットしたい保護者の方々に読んでいただければ幸いです。
① 教える親、教えない親、どっちがいいの?
子どもが勉強に難渋していると、親は放っておけなくなります。しかし、そこでの関わりかたには十分留意すべきでしょう。ヒントを与えるに留めるか、答えまで全部教えてしまうかで、子どもの学びの姿勢はずいぶん違ってきます。親に頼る姿勢が染みつくと、受験勉強が本格化してからの伸び悩みにつながりますし、自分で勉強をコントロールする力がいつまでも身につきません。子どもの勉強に関心を寄せることは必要ですが、子どもの学びの自立の妨げになるような関わりは避けたいものです。
ただし、3~4年生までは、子ども任せの勉強ではうまくいかないでしょう。最初は一緒に勉強するというスタイルでとりかかり、「子どもが一人でやれそうだ」と感じたらいったん離れて見守るのです。そして、自分でやり切ったなら大いに喜びほめてやりましょう。そうして、自分でやり遂げたときの満足感や誇らしさを味わわせてやりましょう。それが学びの自立につながります。
② 意欲が先?それとも習慣が先?
学習意欲と学習習慣。子どもが学力を伸ばしていくための道筋として、まずもって優先すべきはどちらでしょうか。むろん、どちらも甲乙つけがたい重要なものですが、有名な教育社会学者の著書に、「習慣づけを優先すべし」とありました。どういう考えが背景にあるのでしょうか。学習意欲は、勉強の面白さを知ってこそ湧いてくるもので、「もっと意欲をもちなさい」と親に言われて湧いてくるものではありません。まずは親子で話し合い、毎日決まった時間に机に向かって勉強する習慣をつけることが先決です。勉強が習慣になると、徐々に勉強の面白みもわかってきます。それにつれて意欲が増していきます。だから、「まずは習慣づけから」ということなんですね。

③ 決めた勉強は最後までやる?時間がきたらやめる?
学習の習慣は、計画を立てて実行することの繰り返しを通して身につきます。ただし、時間内に予定を終えられないときもあるでしょう。そんなとき、親はどうフォローすべきでしょうか。まずは子どもの意思を尊重してやりましょう。30分ぐらい様子を見て、「やれる範囲でいいよ。あとはまた時間があるときにやればいいよ」と言ってあげてください。無理に「最後までやりなさい!」と言う必要はありません。
無理をすると、学習の習慣も揺らいでしまいます。また、「決めた時間枠でベストを尽くす」というやりかたのほうが、集中力の伴った勉強になるでしょう。やり残しがあっったり、理解の及ばないところがあったりするのが勉強だと心得ましょう。やり残した部分は、またいずれやるべきときがきます。そのときにがんばればいいのです。勉強は長い継続的な営みです。長続きするやりかたで臨みましょう。
④ 成績をほめる? 努力をほめる?
子どものテスト成績は気になるものです。そこで多くの親は、成績がよければほめ、悪ければ叱る、といった対応をしがちです。しかしながら、ほめるべきは成績なのでしょうか。がんばっても不本意な成績を取ることが多いのが現実でしょう。どのお子さんもがんばっているのですから。ただでさえがっかりしているときに、親に叱られたのでは子どももたまりません。
ほめるべきは子どもの努力なのだと心得ましょう。「テスト結果は残念だったけど、あなたはよくがんばっていたと思うよ。おかあさんはそれがいちばんうれしいよ」と言われたら、子どもは「つぎこそはもっとがんばるぞ!」と、やる気になることでしょう。よい成績をほめるときにも、「すごいね。この調子!」というほめかたよりも、「よかったね。このところがんばっていたからね。それが報われたんだね」と言ってやりましょう。そういう親を子どもは尊敬し、やる気を一層高めるものです。
⑤ 受験に不要なのは会話? それとも読書?
受験勉強が本格化するにつれて、「親子でおしゃべりする時間は無駄じゃないの?」「読書をする暇があったら、勉強にあてたほうが…」と考える保護者もおられるかもしれません。しかしながら、実は両方とも子どもにとって必要なものだと考えるべきでしょう。
というのは、受験生はまだ発達途上の小学生。家庭内の会話は、新たな知識を仕入れたり、自分の考えを理路整然と発信したりできるようになるための重要な練習の場です。さらには、親との楽しい会話を通じて、心の安らぎを得ることもできるでしょう。また読書は、新たな語彙獲得に欠かせないものです。なにしろ小学校4~6年生の時期は、人生でいちばん多くの言葉を獲得し、思考力を伸ばしていく大切な時期です。「うちの子は、暇さえあれば本を読んでいるので心配です」という相談をしばしば受けますが、そういうお子さんほど入試にも強く、先々も学力を伸ばしています。受験勉強の合間に親子の会話や読書を上手に組み入れる。そんな受験生活をお勧めします。

中学受験の勉強のなかには、子どもの知的興味を刺激する要素がたくさんあります。それに気づき、勉強を楽しむぐらいの余裕をお子さんにもたせてあげていただきたいですね。もしもそれがうまくいったなら、傍目に厳しい勉強も、子どもにとっては少しも辛いものではなくなります。まずは、上記の5つのことを実行してみてください。少しずつ確実にお子さんは変わっていくと思います。

