子のイラストバックナンバー

2019.6.7

子どもが素直になる
最善の方法って!?


 「うちの子は、全然親の言うことを聞いてくれない」「注意したり叱ったりすると、反抗ばかり…」「改めてほしいことについて話し合おうとしても、子どもはすぐ感情的になって話し合いにならない」――このように嘆いているおかあさんはおられませんか?

 こういう問題の渦中にあるお子さんは、性格的に何らかの問題を抱えているのでしょうか?いいえ、大半はごく普通のお子さんであり、大人(主に親)の対処しだいでどのようにでも変わるいい子なんです。では、どうして親に逆らい、言うことを聞かないのでしょうか。今回は、この問題を取り上げながら、親に求められる心のもちようや子どもへの対応のありかたを共に考えてみようと思います。

 のっけから不快にさせたら申し訳ないのですが、問題の原因は親の側にもあるということを申し上げておかなければなりません。少なくとも、小学校低~中学年までの子どもは本質的に素直です。それが親に逆らうのは、親の側にも原因があると考えるべきではないでしょうか。ある本を読んでいたら、この問題に対する格好のヒントと解決法が紹介されていました。もしも、親子の関係がしっくりいっていないとお悩みのかたがおられたなら、参考にしていただけるかもしれません。

 問題を解消するためのキーワードは「共感」です。共感とはどのようなものかについて、前述の本の著者は次のように述べておられます。

 共感とは、自分をある人の立場においてみて、自分がその人だったらどう感ずるかを想像してその人を理解しようとすることです。この共感は万人に大切なことですが、いろいろな人々に支えられ導かれて成長している子どもにはとりわけ大切です。( 中略 )
 子どもは共感や理解を求め、自分の考えや意見を尊重してもらいたがっています。自分の考えを認めてもらえれば、たとえその考えに反対されても、我慢できます。
 子どもは共感してもらえ、理解され、尊重されていると生き生きとしてきます。

 特に、最後の一行は注目に値するでしょう。親が子どもの気持ちに共感を示し、望ましくない行動をとった理由に理解を示してやれば、子どもはそれだけでうれしいのです。そして、すっかり元気を取り戻すことができるんですね。

 ところが、多くの家庭ではそれと違うような状況に至りがちです。子どもが腹を立てたり、落ち込んだりしている様子を見ると、多くの親は「子どもがまた何かをしでかしたのだろう」「子どものが嫌な思いをしたのは、それだけのことをしたからに違いない」と決めつけ、「今度は何をやらかしたの」とばかりに初めから説教口調になってしまいがちです。

 こんなとき、子どもの側に立ってものを考えたならどうでしょう。自ずと「悪いのは子ども」といった発想にはなりません。「あれ?子どもが何かに苦しんでいるみたいだ。心を傷つけていなければいいが…」といったように、子どもの気持ちに寄り添った思考が働きます。

 前述の本の著者は、「相手に共感できるようになるには、わかってほしいのにはぐらかされたときのことを、まずは思い出してみることです」と述べ、次のような状況を例にあげて説明しておられました。

 夫が帰宅すると、あなたは「もう、クタクタよ。」と疲れきった笑みを浮かべて言います。夫が、「だから君はやりすぎだっていつも言っているだろう。君のやっていることの半分はする必要のないことなんだ。」と答えたとしましょう。
 どう感じますか。分かっていないと思って、おそらくいらだつでしょう。あなたは、「クタクタのようだね。一生懸命働いたんだろう。子どもはぼくが寝かしつけてあげるから、しばらく休んだらどうだ?」 と言ってほしかったのです。別の時なら、必要もない用事は減らすようにとの夫の忠告に喜んで耳を傾けるでしょうが、こういう時は駄目なのです。

 つまり、落ち着いて冷静でいる時なら歓迎し受け入れられる忠告でも、心身ともにコンディションが優れないときには無神経にたしなめられているような気持ちになり、相手の言葉をよい方向で受け止めることができなくなるのですね。ここで例にあげられた「あなた」を「子ども」に置き換えてとらえてみると、子どもが親の注意に素直に耳を傾けない理由もわかってくることでしょう。

 子どもが親の言うことに素直に耳を傾けるようにするには、まずもって子どもの立場を理解していることをわからせることが必要だと、前述の本の著者は述べておられます。ただし、それができるようになるには、一定の訓練や努力が必要だとも述べておられます。次回は、それがどのようなものかをご紹介しようと思います。よりよい親子関係の構築に向けて役立てていただけたなら幸いです。

※今回の記事は、「ユダヤ式 家庭教育」(ミリアム・レヴィ著)を参考にして作成しました。

H.S

2019.6.14

子どもが素直に心を開く
コミュニケーションのとりかた


 前回は、子どもが親の言うことに素直に耳を傾けるようになるにはどうしたらよいかをテーマにとりあげました。そのために最も重要なことは、子どもをどう変えるかという発想で接するよりも、親が子どもの気持ちに共感する姿勢で接するほうが効果的であるということをお伝えしました。今回はその続きです。

 子どもとちょっとした見解の不一致があったとき、すぐに親の思い通りにさせようとするのではなく、まずは子どもに共感の気持ちを伝え、子どもと適切なコミュニケーションをとれる状況をつくることが肝要です。しかしながら、それは容易いことではありません。特殊教育の専門家であるアメリカのミリアム・レヴィ氏は、「親子が理解し合えるような雰囲気をつくるには、親は我慢強く、子どもの立場に立って耳を傾けるよい聞き手でなければなりません」と述べ、そのために注意すべき点として次のようなことをあげておられます。

 1.子どもの考えや発言を否定したり無視したりしない。
 たとえば、子どもが「ピーマンなんて苦くて食べられないよ」と言ったときには、「文句言わずに食べなさい。体にいいんだから」などとやると、子どもは反発します。「正しいことなのだから言うことを聞いて当然だ」という親の押しつけを感じてしまうからです。
 「あら、あなたにはピーマンが苦く感じるのね」と、いったん子どもの言い分を受け止め、尊重してやれば、「じゃ、あなたが苦く感じないように料理してみようかしら」といったように話を展開させることもできるでしょう。それでも嫌がれれば、無理強いする必要はありません。最も大切なことは、子どもが「親は自分の気持ちを理解してくれている」と感じるよう、共感の気持ちを伝え続けることです。

 2.子どもを問い詰めない。
 「………ということなの?」とか、「どうしてそんなことがわかるの?」というような聞きかたをすると、弁解がましい態度をとるようになります。子どもの判断を信用していない聞きかただからです。親に問いかけられているというよりも、問い詰められているように感じるのですね。
 子どもを厳しく追及したり、いろいろ突っ込んで聞き出したりするのはやめましょう。

 3.子どもの立場に立って聞く。
 どちらが正しいか、どちらの考えがいいかという議論にならないように気をつけましょう。できるだけ、子どもの意見のなかに賛成できる点を見つけましょう。たとえ賛成でない場合でも、「それは面白いわね」とか、「そういうふうに考えたことはなかったわ」「そうかもしれないわね」とは言えるものです。
 「何を考えているの!」「自分の言っていることの意味、わかっているの!?」などとやると、子どもは自分を否定されたと思い、感情的になってしまいます。
 意見が食い違ったときも、「おかあさんは、そういうふうには思わないわ」「おかあさんは、違う意見よ」と、上手に表現してください。子どもが強引に思い通りにしようとしたときには、「残念だけど、その考えには賛成できないわ」と言ってみます。

 4.アドバイスは控えめにする。
 親がどんなによかれと思って注意しても、子どもにすれば自分でとにかくやってみたいのです。そういうチャンスは確かに子どもが成長していくうえで必要でしょう。
 もしアドバイスが拒否されても、言い返さないこと。また、「もう勝手にしなさい!」とうんざりして突き放す態度も戒めたいものです。親の考えを受け入れてほしかったなら、まずは子どもの考えや立場を認め、そのうえで「あなたの言っていることはわかるけど、………はどうかしら?」などと、親の気持ちを穏やかに伝えてみましょう。それでも効き目がないようなら、「わかったわ………もう少し考えてみたら」と話を切り上げます。
 子どもは、あとになって冷静さを取り戻すと、親の助言を考え直してみるようになります。子どもは、不愉快な経験をしてみて、親の言うことを聞くほうがうまい具合にいくということを学びとります。

 いかがでしたか?参考になる点があったでしょうか。レヴィ氏は、「子どもは、自分の気持ちをわかってもらえると、とてもうれしく思います。親はそこに留まらないで、子どもに『自制』ということを教えていかなければなりません」と述べておられます。そして、子どもが穏やかな気持ちでいるときを見計らい、「自分が嫌な思いをするのは、たいてい日常のできごとを自分にとって都合よく解釈しようとするからなのだ」「自分にふりかかることをどう受け止めるかで、幸せにも不幸にもなれるのだ」、ということに気づかせるよう働きかけることを勧めておられます。

 ただし、それは具体的にはどういったことをすればよいのでしょうか。レヴィ氏は、「このやりかたなら、小学1年生でも理解します」と言って、次のような子どもへの語りかけの例をあげておられます。

 人生は大きなお店のようなものです。このお店には、右側と左側にカウンターが一つずつあります。右のカウンターには『幸せ』という大きな看板がかかっています。そこでは、私たちをいい気分にしてくれる考えが買えます。左のカウンターには、『不幸せ』という看板がかかっています。そこでは嫌な気分になる考えが買えます。
 選ぶのは私たちです。自分で、どちらのカウンターで買うか決めていいのです。何を考え、どう感じるかは、自分で決めるものです。

 この例を話したあとで、不幸のカウンターではどういう考えが買えるかを子どもに考えさせるのです。そして、自分がどういう考えかたをしたときに、イライラしてしまうのかを分からせていくと、次第に子どもは自分の望ましい心のもちようについて、つまり自分を幸せにしてくれる考えを買う方法を身につけさせていくのです。

 何につけ、子どもは自己中心のものの考えかたをするものです。上記のような親の愛情のこもった働きかけは、子どもが自分の言葉や行動を客観的にとらえたうえで、より望ましい自分のありかたを考えられる人間に成長していくうえで、大きな力となることでしょう。親にとっても簡単なことではありませんが、うまくいかなくても悲観せず、繰り返し試みていきましょう。その成果は、必ず子どもの様子から見て取れるようになります。

H.S

2019年5月→