大阪に本社を持たれている(株)イングの青木辰二代表が
平成19年4月〜平成20年9月の間に産経新聞夕刊に連載
されましたコラムを毎週水曜日に1本ずつご紹介します!
是非、子育ての参考にしてみてください!


2015.11.4 国語力!

 大学入試に「共通1次試験」が取り入れられ、解答方式が記述ではなくマークシートになったのは昭和54年。それ以降、大学生の文章力が低下した、という説があります。

 記述を求められなくなった大学生は、いま子供を持つ親となり、自分の子供の記述力のなさに危機感を募らせています。近年の「国語力」ブームは、親自身の国語力不足に対する危機感の裏返しではないでしょうか。国語力の低下という現象はいま、親の世代から子の世代へと確実に受け継がれています。

 仕事も含めた生活の中で、昔ほど切実に国語力を求められることはなくなりました。たとえば、お礼状の代わりに電話やメールを差し上げても、さほど失礼ではないと考える人が増えています。

 パソコンや電子辞書には、手紙の文例のデータが入っていて、時候の挨拶から結びの文章まで、選ぶだけで大丈夫です。漢字も多少わからなくても変換してくれます。

 これらが招く、語彙(ゴイ)力・思考力・コミュニケーション能力の低下は、近年よく目にする若者の衝動的な犯罪や学校のいじめ、犯罪の低年齢化などの問題と結びつかないでしょうか。

 生活の変化が招いた国語力不足を解消するには、生活を変化させるしかありません。家族で「ノーテレビデー」を作り、一緒に読書をする。たまにはメールではなく手紙を出す。親が子供と一緒になって、そんな取り組みをしてみてはいかがでしょうか。

<2007年9月28日 産経新聞 夕刊>

 

2015.11.11 本気?

 イングでは毎年夏、中学3年生を対象に3泊4日の勉強合宿を行っています。勉強合宿というと、「必勝」と書いた鉢巻を締めて厳しい勉強に耐えている子供の様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。そして同時に「そんなにしなくても…」と、やや否定的に受け取られるかもしれません。

 しかし実際の合宿には、感動があり、喜びがあります。それは講師と子供の本気のぶつかりあいがあるからです。

 講師は自分の持てる力をすべてふり絞って指導します。このとき何より大切なのは熱意です。時には涙を流しながら叱ることもあります。やがて、その熱意は子供たちに伝わり、子供たちの目の色が徐々に変わってきます。合宿後半には、子供たちの集中力が格段に上がっていることを実感します。

 そして「ぼくはこんなに集中して勉強できるんだ」「わたしもやればできるんだ」と子供たち自身が驚きます。「もっと合宿したい」と言い出す子供まで出てきます。成績がどう、偏差値がどうということではなく、「本気でやれば変われる」という子供たちの成功体験こそが合宿の成果なのです。

 この子供たちの「本気」を引き出せるのは、大人の「本気」しかありません。「反抗期(難しい年頃)だから」「子供がかわいそうだから」と理由をつけるのはやめて、「中途半端」でなく「本気」でぶつかっていけば、どんな子供も変わっていくのではないでしょうか。 

<2007年10月12日 産経新聞 夕刊>

 

2015.11.18 約束!

 「男の約束、破っちゃいかんわな。何があっても、親子の約束、夫婦の約束は、破っちゃいかんよ。」2007年にプロ野球日本シリーズを制覇した中日ドラゴンズの落合監督の言葉です。監督は今年の開幕の朝、「連覇できなかったら丸刈りにする」と長男と約束し、結果はペナントレース2位でした。そして10月4日、本拠地ナゴヤドーム最終戦終了後、ファンへの挨拶のために帽子を脱ぐと…。

 半年以上も前にした子供との約束をしっかり覚えていて守る。監督の言葉にもあるように、家族を大切にしているからこそ、できることだと感心させられました。

 たとえ相手が子供であっても、約束したのが随分前のことであっても、必ず覚えておいて、その「約束」を守る。それが人と人との信頼関係につながります。

 私たち講師も「先生、この問題集の宿題、提出は今日やったね」と子供に言われてから思いだして、慌てているようでは先生失格です。これでは、先生の言葉を子供が信じなくなり、やがて心も離れてしまいます。約束なんて守らなくてもいいんだと思う子供もいるかもしれません。

 「人との約束は絶対に守りなさい」と口で言うよりも、大人(親)が、子供や家族、周りの人との約束を守るために努力している姿をしっかり見せる。そこから子供は、約束の大切さや人を信じ合う関係作りを学んでいくのではないでしょうか。

<2007年11月9日 産経新聞 夕刊>

 

2015.11.25 子供のサイン?

 2学期のある日、イングのある教室で、中学3年生の女の子がずいぶん早い時間に来て自習を始めました。こんなに早く来ることは今までなかったので、先生は不思議に思い、遠くから様子を見ていました。彼女は浮かない顔で、勉強もはかどっていないようです。先生は彼女のところへ行き、そっと声をかけました。するとその子は急に泣き出して、こう言いました。

 「今日、学校で懇談があって志望校は厳しいって言われてん。家に帰ったらお母さんにも、もうやっても無理ちゃうか、志望校変えたらって言われた。志望校が厳しいのは私の勉強不足で、自分のせいやねん。でも私、頑張っても無理なんかな、意味ないんかな…」

 彼女は泣き崩れてしまいました。「最後まであきらめるな。目標に向かって自分が納得するまでやってごらん。先生も応援するから」と、先生は励ましたそうです。

 子供は、時に厳しい現実を突きつけられ、ヤル気を失ってしまうことがあります。壁を乗り越えられず、大人に「助けて」という信号を送ることがあります。この女の子が早い時間に教室に来たのも、この信号だったのでしょう。

 自分の力で壁を乗り越えさせることは大切なことです。ただ、何気ない子供の信号に気づき、支えてやることは大人(親)の大切な役割なのではないでしょうか。

<2007年11月30日 産経新聞 夕刊>

 




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