子どもの才能は生まれつき?
いいえ、家庭の関わりが大きな作用を果たします。


2016.4.1 日本の親はわが子の成長に満足していない?

 前回は、日本の子どもの自己評価が他国と比べて著しく低いことを、国際比較調査の結果に基づいてご紹介しました。みなさんのお宅のお子さんの現状はどうでしょうか。「自分はやれる!」と、自信に満ちて何事にもがんばっておられるでしょうか。

 子どもが自分の能力に自信をもてない。この問題への対処にあたっては、そうなった原因を知っておく必要があるでしょう。無論原因は一つとは限りません。ただし、もしも家庭でのしつけや教育と関わりがあるなら、親が対処して改善できるはずです。

 すでにお伝えしたことがあろうかと思いますが、小学校低〜中学年の子どもの物事に対する取り組みは、おかあさんの関わりかたに大きく影響されます。たとえば、おかあさんにほめられれば自信が湧いてきて意欲を高めるいっぽう、叱られると自信を失い意欲も低下しがちです。大袈裟に言えば、何事もおかあさん次第の年齢なのです。

 と、ここまで書いたら想像がついておられるかもしれませんが、日本の親(特におかあさん)はわが子をほめていないのではないかと思われる調査資料があります。ちょっとご紹介してみましょう。

単位:%
日 本 韓 国 タ イ アメリカ イギリス スウェーデン
0〜3歳 68.7 78.7 68.5 93.1 92.7 94.4
4〜6歳 53.7 61.1 67.0 88.5 89.1 89.2
7〜9歳 47.3 57.8 69.4 82.8 78.1 84.6
10〜12歳 36.3 52.9 74.1 84.5 83.3 82.7
※各国とも0〜12歳の子どもと同居している親千人を対象に調査。 資料:平成5年・文部省

 この資料は、「わが子の成長に対する満足度」で、「ほめているかどうか」を調べたものではありません。しかしながら、満足度が高ければ当然わが子をほめていると想像がつきますし、不満であればほめる機会は少ないと考えてよいでしょう。

 調査結果を見ると、日本の親の満足度が図抜けて低いことに驚かされます。各年齢層において、いずれも最低の水準となっています。特に気になるのは、年齢が上がるとともに満足度が低くなっているということです。タイ、アメリカ、イギリス、スウェーデンの親が、わが子の年齢と無関係に高い満足度を維持しているのと対照的です。

 なぜ日本の親はわが子の成長の様子に満足できないのでしょうか。ある教育学者は、テストの点数や順位などで成績をはかる教育の制度に関係があるのではないかと指摘しておられます。上記資料で2番目に低い数値となっている韓国も入試を巡る競争の厳しい国として知られます。こうした国では、わが子への愛情の深さとは無関係に、成績を見てわが子の現状に満足できなくなってしまうのではないかと考えられます。いわゆる受験圧力が親にも及び、「もっとがんばれないものか」という不満を助長してしまうのです。

 わが子の成績を見て不満に思う。それは、他の子どもと比較するからに他なりません。そういう意味において、前回ご紹介したアメリカの教育観もある程度参考になるのではないでしょうか。「わが子が以前よりも成長しているかどうか」を評価の軸に据えるのです。そして、前よりもがんばっていたなら、テストの点数や順位に関わらずわが子を認めてやるのです。特に低学年までの子どもにとっては、それが何よりも励みになり、元気の源になるでしょう。

 もう一つ、おかあさんがたにぜひお伝えしたいことがあります。それはわが子をほめる真の目的は何かということです。ある学者は、次のようなことを述べておられます(手短にお伝えするため、原文をかなり変えています)。

 ほめるという行為は、がんばりの対価などではない。わが子ががんばったことの引き替えにほめている親はいないだろうか。それでは教育にならないし、ほめてやれるチャンスは限られてしまう。ほめるという親の行為は、わが子をがんばらせるためにあるのだ。つまり無償の行為である。子どもの勇気や奮起を引き出すためにほめるのだ。わが子の少しの変化も見逃してはならない。ほめてやれるタイミングは、その気になればいくらでもある。

 かつて、勤務先の学習塾で6年生の保護者面談をしたときのことです。「お子さんをもう少しほめて励ましてあげてください」とお伝えしたところ、「うちの子には、ほめようにもほめるところが一つもありません」と、ため息をつかれたおかあさんがありました。「成績が上がったらほめる」という発想だとこうなりがちです。「がんばりを引き出すためにほめるのだ」と思っておられたら、状況は違っていたかもしれません。

 わが子のちょっとのがんばりや変化に気づけるよう、アンテナを張り巡らしましょう。具体的には、子どもを注意深く観察することです。そして、少しでも努力の様子が見られたら、それをほめるのです。勉強だけに限定する必要はありません。前向きさが感じられたら何でもほめてやるのです。ほめられたことは、全ての行動に波及します。

H,S

 

2016.4.8 子どものモチベーションを高めるほめかたって!?

 前回のブログにおいて、「日本のおかあさんは、もっとわが子をほめるべきではないか」といったようなことを書いたかと思います。そこで、今回は「どうほめると、子どもがやる気になるか」ということについてお伝えしてみようと思います。

 ただし、「ほめろって言うけど、叱ったほうがやる気になるってことはないんですか?」とお考えのかたもおありかも知れません。そこでまず、「ほめる」と「叱る」のどちらが子どもをやる気にさせるかについて考えてみましょう。

 ほめること、叱ることが子どもにどう影響するかについて比較する、5日間の実験が学者によって行われました。初日に、小学生(4年と6年)に算数のテストを行いました。そして、そのテストの成績、年齢、男女の比率を均等にしたグループをいくつかつくり、テスト後に毎回結果をほめる、叱る、何も言わないと、グループごとに異なる対応をし、以後のテスト結果を比べてみました。


 グループ分けをした直後の2日目のテストでは、ほめたグループと叱ったグループの成績は同じように上がりました。しかし、3日目以後は大きく差がつきました。残りの放任グループは、他グループの様子を見ているだけで何も言われませんでした。実は、このグループの成績が一番下でした。

 以上からわかりますが、叱ることの効果は叱った直後のみ有効で、一過性の効果をもたらすにすぎません。そのことに、うすうす気づいていたかたもおありでしょう。「うちの子は、叱ったらがんばるけどすぐ元通り」なんてことはありませんでしたか? もっと驚くのは、親が子どもを放任した結果ではないでしょうか。親が関心を寄せてくれないことが、どんなに子どものやる気喪失を招くかわかりますね。

 それでは、今回のテーマに沿った話を進めてまいりましょう。子どもが勉強だけでなく、何事にも高いモチベーションを発揮してがんばるような流れを築く、効果的なほめかたとはどんなものでしょうか。

1.子どものしたことを“具体的”にほめる
 ほめるときには、人格や能力ではなく子どもの行為をとりあげてほめるのが基本です。たとえば、犬に吠えられて泣いていた幼児を助けた子どもに、「あなたって、なんて親切な子なの!」などとほめると、子どもは反発したりする当惑したりすることがあります。「自分は親切ではない」「たまたまやっただけ」と思っているのにそんなほめかたをされると、子どもの心のなかに「ちがう!」という思いが頭をもたげてくるのです。
 いっぽう、「あなたは、親切に助けてあげたね」「あの子に怪我をさせなくてよかったね」など、子どものしたことを具体的に指摘してほめると、子どもは素直に喜ぶことができるでしょう。「ほんとはボク、親切な子なんかじゃない」などの自己嫌悪の気持ちを抱くこともありません。
 このことは、ほめるときだけでなく、叱るときにも当てはまります。「ダメな子」「算数のセンスがない子」などと、能力を否定されると、子どもは意欲のみならず自尊心までも失いかねません。

2.“努力”を指摘してほめる
 ほめられかたの重要性を示す実験があります。子どもを3グループに分け、テストを行いました。そのあと、全員によくできたことを告げました。それに加え、あるグループには「成績がよいのは、みなさんが頭がよいからだ」と伝えました。別のグループには、「よい成績がとれたのは、一生懸命がんばったからだね」と伝えました(あと1つのグループには何も伝えませんでした)。
 さて、3グループの成績推移を比較してみましょう。違いは一目瞭然。努力をほめられたグループの成績のみ、すばらしい勢いで伸びています。また、努力をほめられたグループには、その後の学びに大きな特徴がみられました。自由課題を与えたとき、90%以上がやりがいのある難課題に自主的に取り組んだのです。学ぶ意欲が、失敗を怖れる気持ちを上回ったのです。能力をほめられた子どもたちが、確実に正解できる易しい課題を選んだのとは対照的でした。また、このグループは、失敗しても能力を理由にせず、努力が足りなかったと受け止める傾向が強かったと言います。

3.“肯定的フィードバック”を与える
 ほめる言葉には、「毎日努力を怠らなかった」「勉強の時間はテレビを我慢した」などのフィードバック的側面と、人を操作するコントロール的側面とがあります。親が子どもをほめるのは、子どもの行動の変化を期待してのことですが、そのほめ言葉を子どもが、「親の都合で自分をコントロールしようとしている」と受け止めると、逆効果を招くことになります。
 たとえば、子どもは、「“継続は力なり”を証明したね」など、肯定的なフィードバックを与えられると、勉強への励みを得ることができます。一方、「こんなよい成績をとって、おかあさんは鼻が高いわ」というようなコントロール的な言葉をかけられると、やろうという意欲が低下してしまいます。

 以上3つのポイントを挙げてみました。「子どもの行為を具体的に指摘してほめる」「努力を認めてほめる」「肯定的なフィードバックを与える」――これらはいずれも「何事にも誠実にやっていたら、やがて必ず報われる」というプラス思考の生きかたに基づいており、人間として健全な成長を引き出す大きな効果があると思います。

 みなさんも、ご家庭でこんなほめかたを実践してみませんか? きっとお子さんは、少しずつ着実に変わっていくことでしょう。

H,S

 

2016.4.15 子どもが歓迎するほめかた・嫌うほめかた

 前々回、前回は、日本の子どもの自尊感情が諸外国の子どもと比べて著しく低い原因の一つに、親、特におかあさんがわが子の成長に 不満を抱いていることにあるのではないかということを、資料をもとにご説明しました。また、そのことへの対策として子どもをほめることをご提案しました。

 ただし、ただ子どもをほめるだけで効果があるかというと、むしろ逆効果になることもあるということをご指摘しました。また、親はとかく「成績が上がったらほめる」といったように、がんばりの対価としてほめようとしがちですが、それではほめて励ます機会は増えませんし、ほめることの効果も薄れがちです。

 まだまだ幼いと思っていたわが子も、小学生になるといつの間にか成長し親の考えを見透かすようになっています。また、子どもは親のちょっとした言葉や表情から本心を見破ってしまいます。子どもの直観を決して侮ってはならないということを、親は肝に銘じておきたいものです。

 さて、今回は筋論を展開したり専門家の説をご紹介したりするのではなく、子どもたちの本音がどういうものかを、具体的に事例をあげてご紹介してみようと思います。

 まずは、小学生の子どもたちはおかあさんからどのぐらいほめられているかを調べた資料をご紹介しましょう。調査対象は、私の勤務する学習塾に通う4年生と5年生(協力してくれた児童は合計242名)で、任意にピックアップしたクラスで答えてもらったものです。(調査は2014年)

 
 この結果をどう受け止めるべきでしょうか。私の勤務する学習塾は中学受験専門塾です。親はかなり成績に目を光らせていると思います。私自身は、「だからこそ、あらゆる機会をとらえてわが子をほめて励ましてほしい」と思うのですが、「ときどきほめられる」がいちばん多いのは少し残念ですね。

 みなさんはどうでしょうか。上記調査では、「あまりほめてくれない」と受け止めている子どもが相当数いますが、そのようなことのないようにお願いしたいですね。前回の記事でご紹介したように、「わが子をがんばらせるためにほめるのだ」という視点に立ち、ぜひお子さんに自信とやる気を吹き込んでいただきたいと切に願う次第です。

 この調査においては、子どもたちに親にほめられるということに関して、自分の思いを書いてもらっています。参考になる面があるかもしれませんので、ご紹介してみましょう。
 
 

 子どもがほめられてうれしく感じるのは、何と言っても「がんばったとき」で、圧倒的に多数を占めていました。「テスト成績がよかったとき」というのもそこそこありました。みなさんに着目してほしいことは、「率先して勉強した」「自分から手伝いをした」「計画通りにやった」「何かをうまくやり遂げた」などのように、親に命じられなくても行動した(努力した)ことを親が見ていてほめてくれたとき、子どもはとても喜び、やる気を高めるということです。

 お子さんは、まだ小学校の低〜中学年ですから、そうした着眼に立ってほめるようにすれば、より行動の積極性や自分に対する自信も生まれてくるのではないでしょうか。ぜひ、そうした観点からお子さんの様子をしっかりと見守ってあげていただきたいですね。

 「うれしくないほめられかた」で子どもたちがあげている理由には、結構驚かされました。「子どもは鋭いな」と思わずにはいられません。親の内心を見透かしているようなコメントがかなりありますね。4〜5年生ともなると、もはやごまかしは利かないし、親の思う通りに動いてくれなくなるのだのだということを、今のうちから見通しておくことも必要ではないでしょうか。

 親が迂闊に言ったために逆効果を招くのが、「やればできるじゃない!」という言葉です。「なにがいけないの?」と思われるでしょうか。子どもはこの言葉から、「おまえはできの悪い子だ」という裏のメッセージを受け止めるのです。つまり、「いつも能力がないと思っているから、おかあさんはこんな言いかたをするんだ」と、子どもは感づいてしまうのですね。

 また、「いやみな感じのほめられかたをされるとき」というコメントがありますが、これも子どもが「自分は日頃親にがんばっていないと思われている」というマイナスの効果を生み出しているように思います。せっかく成績が上がり、親に喜んでもらえると期待していたのに、「あら、成績が上がったのね。次はこううまくいくかしら」などと言われると、子どもの意欲はしぼんでしまうことでしょう。

 もう一つ。せっかく親がほめたのに、「目を見てほめてほしい」と子どもが注文をつけているのはなぜでしょうか。目をしっかりと見ることなくほめる言葉には、親の真剣さや愛情が感じられないからではないでしょうか。互いの目を見ての会話はコミュニケーションの原則です。親がそれを実践している家庭の子どもは、真のコミュニケーションのできる人間に成長することができます。せっかくのほめるチャンスですから、しっかりとわが子の目を見てほめてやりたいものですね。

 上記資料から、「どんなほめかたがいけないのか」「どんなほめかたが子どもを元気づけるのか」が、かなり明確になったのではないかと思います。ぜひ参考にしていただきたいと思います。また、子どもをがんばらせるだけでなく、親子の信頼関係をより深めるためのヒントが得られたのではないかと思います。

H,S

 

2016.4.22 自立の遅れは過保護のせい?

 最近の子どもはおしなべて過保護に育てられていると言われます。少子化がとめどなく進み、大概の家庭の子どもの数は一人か二人。そのうえ、家事の負担を軽減する様々な便利な道具が普及しています。したがって、子どもに関わるゆとりが心理的にも時間的にもたっぷりありますから、子育てが過保護に向かうのは当然かもしれません。
 たとえば、朝の起床について考えてみましょう。毎朝わが子を起こしているおかあさんはおられませんか? 「そろそろ起きる時間だよ」と、優しく声をかけただけで起きるようなら、もともと一人で起きられるはずです。たいがいは何度も何度も声をかける羽目に陥るでしょう。その挙句、「うるさいな、わかってるってば!」と、子どもに舌打ちされる。そんなおかあさんはおられませんか? 残念なことですが、親の優しさや根気が仇となり、そういうお子さんはいつまでも精神的にも行動面でも自立できない可能性が極めて高いと言わざるを得ません。
 あるとき、私の勤務する学習塾の催しで、おかあさんがたが朝わが子を起こしておられるかどうか確かめてみたことがあります。「お子さんを起こしているかたは、手を挙げてください」と言ったら、半数以上のおかあさんが手を挙げられました。しかも、親が起こしていることについて、「このままではいけない」と思っているかたは少数のようでした。しかし、やがてこのような過保護のつけを子ども自身が払わされるのだのだということに、ぜひ気づいていただきたいものです。
 朝の起床から親に頼った生活をしている子どもは、いつまでも独り立ちできません。何をするにつけても親頼みの状態が続き、しかもそのことを恥とも思わない子どもになってしまいます。近年は、そうやって 20 代、30 代になっても自立せず、金銭的にも親がかりの生活をする人間が増えていると言います。困ったことです。
 朝の起床は一日の始まりです。そこからまずは自立させませんか? 「子どもを自立した人間に育てたいなら、親は子どものことから手を引いて子どもに任せることだ」と、ある本に書かれていました。親が手出しをやめると、不思議なくらい子どもはそれに気づいて自分に責任をもつようになるのだそうです。次にご紹介するのは、このような結果を体験したおかあさんからの報告です。

 朝はいつも息子が学校に遅れないように、ガミガミ言ってばかりいました。母親の勉強会に出て、「息子はもう大きいのだから、私が口うるさく言うのではなく、息子が自分で遅れないようにしなければいけない」と思いました。
 私は息子と話し合ったわけではありませんし、何か行動を起こしたわけでもありません。15分か、20分毎に、明るい調子で時刻を知らせたのです。何日かたつと、息子はグズグズしないで時間どおりに出かけるように自分で責任をもたなければいけないとわかったようです。それでも息子にとってはそうたやすいものではなく、最初のうちは5分か10分学校に遅刻しました。2、3週間たった今は、もう遅れることはありません。

 うちの子どもたちは、朝起きると、遊びやおしゃべりに夢中になって、着替えようなんて気を起こしません。私は、「起きなさい」、「着替えなさい」、「もう遅くなったわよ」と言い続けていました。うるさく言うのはいやでしたが、とにかく結果的にはそうなってしまいました。
 ついに私は決心しました。学校に遅刻せずに行くことは子どもの仕事です。どうにか私は、ほぼ 100%、ガミガミ言わなくなりました。ですが、子どもたちは相変わらずおしゃべりや遊びに夢中なのです。私はのんきに構えながら、どうなることかと見ていました。すると驚いたことに、あるとき、子どもたちは自分の時計を見て遅いことがわかると、猛烈な勢いで支度を始めたのです。私は子どもたちが学校に遅れて、“グズグズしてはいけない”ということを学んでくれたらと、相変わらず思っています。でも、絶対遅れないんです!

 親が手出しをしなくても、わが子が一人で起きて身仕度をする。それは親としても気持ちのよいものです。しかし、それ以上に子ども自身にとってすばらしいことです。なぜなら、自分のことは自分でやるという、この当たり前の姿勢が勉学においても成功するための基本であり、ひいては一生の歩みを左右するからです。
 あるとき、私立の中・高一貫校の先生が次のようなことを私に教えてくださいました。この学校では、親に「お子さんを朝絶対に起こさないでください」と言っておられるのだそうです。「親に起こしてもらうのが当たり前になると、寝坊して遅刻したことまでおかあさんのせいにしてしまう」というのが、その理由でした。そうなると一事が万事で、行動のすべてがだらしなく、自己管理のできない人間になってしまいます。宿題をため、それを注意されてもなかなか出すことができず、やがてはドロップアウト。こうなっては、親は泣きっ面に蜂です。
 「寝坊して遅刻し、恥をかく。それは子どもがしたことですから、自分で生活面の自立を果たすしかありません。そういう流れをつくらないと、子どもは勉学においての自立などできません」と、その先生はおっしゃっていました。
 お子さんが小学生の今のうちなら、親の言うことを素直に聞いてくれるものです。朝の起床から自立に向かわせましょう。

H,S

 

2016.4.29 子どもをがんばらせる親のちょっとした違い

 教育に関心のある保護者のほとんどは、わが子に対して「自分から率先して学ぶ姿勢をもってほしい」、「決めたことをちゃんとやり遂げるよう、がんばってほしい」と望んでおられます。人に言われてやるのではなく、何事も率先して取り組む姿勢を身につけることが、より善い人生を実現するうえで重要なことだと知っておられるからでしょう。
 しかしながら現実はどうでしょうか。期待とは裏腹に、「うちの子は前向きさが足りない」「やるべきことが全然実行できない」と嘆いておられる保護者がなんと多いことか。これはなにも勉強面に限りません。日常生活の様々な領域で親の嘆きの種になっているようです。
 教育に関わる専門家によると、このような子どもをもつ親のしつけには、以下のような問題点が共通してみられるそうです。

1.子どもの問題行動に受動的に対応する

2.子どもの問題行動に感情的に対応する

 では、どうしたらうまくいくのでしょうか。うまくやっている親は、子どもが「親の意向に沿おう」と積極的に思ってくれるよう上手に導いています。すなわち、子どものよいところを認め、自尊心を育てながらしつけについてのパートナーシップを築いているのです。
 つまり、そういう親は子どもが口答えをしたり癇癪(かんしゃく)を起こしたりしないよう予防を行っているようなものです。その結果、親として辛い対処を求められる場面も少なくなるのです。
 また、うまくやっている親は、たとえ子どもが期待に反する行為に及んでも、そこからいろいろなことを学びます。そして、問題が繰り返されるのを上手に回避し、同じ轍を踏みません。これは、子育てを楽しむ余裕をもっているからこそできることではないでしょうか。
 要するに、子育てをうまくやるには次の三つが必要だということだと思います。
1.親子関係が悪化しないよう予防する(子どもと、しつけについてパートナーシップを築く)。
2.子どもが問題行動をとったなら、そこからしつけの修正点を見出す(放っておかない)。
3.どんなときも子育てを楽しむ余裕を失わない(ゆとりをもつ)。

 何年か前、知人がアメリカから広島に訪ねてきてくれました。学生時代の知り合い(その知人は留学生として日本に来ていました)です。長い間会っていなかったので、ほんとうに久しぶりに旧交を温めることができました。
 その知人との会話のなかで、アメリカの子育ての特徴についての話題で記憶に残っていることがあります。それは、「アメリカの親は、何につけてもとことん子どもに説明する」ということです。とにかく、子どもが納得するまで話をするのだそうです。その知人は、「ものすごく説明する」というような言いかたをしていました。子どもを一人前の人間として認め、理解と協力を求めるということなのでしょう。それによって、親の期待するような行動を引き出すのです。
 無論、アメリカ的子育てのなかには、日本人家庭には合わない面もあるでしょう。ただし、親が子どもに言葉を尽くして説明するということが何を目的とするものかを考えたなら、大いに参考にすべき点はあるように思います。
 もしも親が、「子どもには、こうあってほしい」と思うことについて、しっかりとパートナーシップを築いていたなら、子どもは親の期待に沿おうとするのではないでしょうか。もしも親が、問題の傷口にすぐ対処したなら、子どもはいけないことを繰り返すことはありません。もしも親が、心のゆとりを常に忘れなかったなら、子どもも落ち着いてものごとを判断することができるでしょう。
 予防、対処、ゆとり、この三つを胸に留めて、お子さんの成長を引き出すべく、がんばっていただきたいと存じます。

H,S

 




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