子どもの才能は生まれつき?
いいえ、家庭の関わりが大きな作用を果たします。


2016.3.4 しつけの効果を引き出すためのヒント

 子育ては、1日たりとも休むことのできない負担の多い仕事です。しかも、子どものありとあらゆる点について目配りをし、適切な方向へ導いてやらねばなりません。

 ほんとうに骨の折れる仕事ですが、おかあさんがたの苦労の積み重ねなくして、子どもたちの健全な成長はありません。是非がんばっていただきたいと存じます。

 ときには、疲れを感じるときもあるでしょう。「やっていられない」とばかりに、投げ出したくなる瞬間もあるかも知れません。しかしながら、世の中のあらゆる仕事のなかで、いちばん価値の高い仕事が子育てであるとも言われています。当たり前ですよね。世の中の発展に貢献したどのような偉大な人物も、母親の愛情深い子育てがあったからこそ、立派に成長できたのですから。

 ところで、おかあさんがたはお子さんと生活をともにするなかで、子どもの健康や成長に関わることについて手ほどきをしたり、アドバイスをしたりしておられると思います。このような場面で、おかあさんがちょっとした工夫をするだけで、子どもは随分変わると言われています。

 たとえば、食事のときに「もっとよく噛んで食べなさい!」とお子さんを注意することがあるでしょう。その場合、「食べ物を口に入れたら、20回噛んでから飲み込みなさい」と具体的に言うのです。「よく噛んで」ではどのくらい噛むのかわからない子どもも、「20回噛んで」と具体的な数字で言われればやるべきことが理解できます。それが積み重ねられれば、大きな違いが生じることでしょう。

 このことは、子どもの成長を促すうえで大きなヒントになるのではないでしょうか。無論、そういったことをすでに心がけておられるご家庭もおありでしょう。ですが、数字を意識することでもっと子どもに徹底できる事柄が、まだほかにもあるかも知れません。

 小学校低〜中学年までの子どもには、すべてこういった具体的な教えかたをするのです。そのほうが、実行すべきことが確実に予定通り行われることになります。

 「宿題は夕食の前か後か」だけではまだ具体的ではありませんね。夕方5時から6時までとか、塾のある日は夜8時から8時半までというように、時刻を具体的に決めるのです。朝の起床時間、夜の就寝時間、歯磨きの回数、縄跳びの時間(回数)、ゲームなどの遊びの時間等々、子どもの生活のなかでルーチンとして定めていることは、時間や回数を具体的に決めておけば、実行されやすいし成果も確実に得られるでしょう。

 無論、おかあさんの働きかけが圧迫感や締め付けになっては逆効果です。お子さんと相談し、「こうしよう」と決めたことを実行に移せばよいでしょう。勉強など、お子さんにとって楽でないことは、実行に移すごとに声をかけ、ほめてあげると子どもは喜ぶし、次への励みを得られることにもなります。

 何事もそうですが、何をどうやるかを子どもが受け入れること、そしてそれを習慣化して当たり前のようにやるレベルに漕ぎつけること、そうして、最終的には子どもが自分のこだわりとしてやらずにはいられないレベルに到達すること、これらが段階的に達成されたなら、お子さんは主体性があり実行力に富んだ人間に成長していくことができます。

 「うちの子はやることがいいかげん。もう少しちゃんとやってほしい」と思っておられるご家庭がおありでしたら、是非試してみていただきたいと存じます。

 最後におかあさんがたにぜひお伝えしたい言葉を思い出しましたので、つけ加えておきます。それは、「子育ては芸術である」という言葉です。随分前に読んだ書物にあったものです。子育てはまさに創意工夫の連続体であり、わが子の望ましい成長を願う親の愛情や知恵が集約された営みです。

 おかあさんにとって苦労の絶えない仕事ですが、絶えざる創作活動を通して唯一無二の芸術作品を生み出しておられるのですね。

H,S

 

2016.3.11 子どものやる気を左右するのは何?

 2月26日に掲載したブログにおいては、子どもの学習を活性化するためにまずもって必要なのは「習慣づけ」であるということを、教育社会学者の見解をもとにお伝えしました。

 その際、「意欲か、それとも習慣か」という問いかけをしました。つまり、子どもの意欲に直接働きかけるのが効果的か、それとも学習の習慣づけから取りかかるべきか、ということです。学者が導き出したのは、「習慣づけをはかるのが先決である」という結論でした。

 ただし、それは「意欲を引き出すための働きかけは必要ない」ということではありません。小学生までの子どもは、まだ親頼み、大人頼みで生きています。親や周囲の大人からの働きかけが、ものごとに取り組むうえでの意欲に大きな影響を及ぼします。家庭での学習においては、習慣づけに配慮しつつ、上手に子どものやる気を引き出すような働きかけをしてやる必要があるでしょう。

 そこで今回は、子どもの学習意欲を高める方法について考えてみたいと思います。まずはみなさんに質問をしてみましょう。子どものやる気(学習意欲)を高める方法として、最も有効なのはどんなことでしょうか。

 中学生ぐらいになったら、「将来達成したい目標」がやる気のいちばんの源になると言われています。しかし、小学生、それも低学年までの児童にとっては何といっても「ほめられること」のようです。無論、大人だってほめられればうれしく、「もっとやってやろう!」と意気盛んになります。ほめられるということは、自信を注入され、勇気を与えられることなんですね。

 こんな実験が行われたことがあります。クラスを、だいたい同程度の学力をもつ二つのグループに分け、同じテストを受けさせます。片方のグループには、採点をして答案を返しました。もう一方のグループは採点をせず、後日生徒一人ひとりを呼び出し、「先日のテストはよくできていたよ」と伝えます。これを繰り返します。そうして、何回目かのテストにおいては、どちらのグループの答案も採点してみました。すると、ほめられたグループの平均点が何も言わなかったグループよりもよかったそうです。

 これは、「ほめられると人間の意欲が増し、学習が活性化する」ということを示しているでしょう。先の実験について補足すれば、「がんばったからほめる」のではなく、「ほめられたからがんばる」ということが現実に起こるかどうかを試す実験でした。そして、その考えの正しいことが見事に実証されたわけです。

 こういう実験結果のことを「ピグマリオン効果」と言います。この言葉は、みなさんも何度となく耳にされたことがおありでしょう。ちなみに、「マイ・フェア・レディ」というミュージカルの原作は、「ピグマリオン」というそうです。この映画のストーリーをご存知のかたは、「なるほど!」と合点されたのではないでしょうか。これについてご説明すると長くなってしまいますので、残念ながら割愛させていただきます。

 なお、ピグマリオンの語源はギリシャの伝説に由来しています。キプロスの王ピグマリオンは、彫刻の名手だったのですが、自分が彫った女性の像の出来映えがあまりにすばらしく、その像に恋いこがれてしまいます。「どうかこの女性と結婚できますように」と神に祈り続けました。するとその女性像に生命が宿り、めでたくピグマリオンは自分の妻にすることができました。この話をもとに、願いごとをしたり、ほめたりしたことが本当になることを、ピグマリオン効果と呼ぶようになったと言われています。

 前述のように、人間というものはほめられるに値する根拠がなくても、ほめられれば気分がよく、励みを得てがんばるようになります。その一方で、がんばっても人に受け入れられないと辛い思いをするものです。

 特に子どもの場合、「親がほめてくれるかどうか」が、やる気に直接的な影響を与えます。どんなによい成績を取っていても、親がほめてくれなかったり、認めてくれなかったりする状態が続くと、がんばりに精彩を欠いてきます。その意味において、「ほめる言葉かけ」をすることも、おかあさんの大切な仕事だと言えるでしょう。

 おかあさんの影響力は、なぜこんなにも大きいのでしょうか。それは、赤ん坊が生まれてから約3ヶ月後、意識というものをもち始めたとき、初めて認識するのがおかあさんだからだと言われています。

 目の前にあるおかあさんの優しく愛情深い笑顔。それを見たときから、子どもはおかあさんを大好きになります。そして、その後思春期が来るまでおかあさんは子どもにとって唯一無二の存在となり、ものごとに取り組むうえでいちばんやる気を左右する存在になるのです。

 そんな大好きなおかあさんが、がんばってもほめてくれない。子どもにとって、これほど辛いことはないでしょう。おかあさんには、お子さんをもっともっとよく見てあげてほしいですね。ちょっとでもがんばっていたら、すかさずほめてあげてください。ただそれだけで、子どもはうれしくてたまらなくなり、「もっとがんばるぞ!」と意欲を高めるに相違ありません。

H,S

 

2016.3.18 玉井式で読解力を伸ばすためのサポート

 すでにお伝えしたように、まだ読みの態勢づくりを始めたばかりの低学年児童にとって、長文を一気に読み通すのは相当な負担が伴います。特に 1 年生だと不可能に近いでしょう。

 一つひとつの文字の形と音とを照合して覚える作業の途中では、長い文章を読ませてもチンプンカンプンであり、子どもにとってまったく楽しくないことですから、それを押しつけると勉強嫌い、本嫌いの子どもになりかねません。

 そこで大人に求められるのは、子どもの発達段階にあった文章を読ませること、読むことに興味をもたせ、「早く上手に読めるようになりたい」という欲求を上手に刺激してやることです。教科書や低学年児童向けの図書を手に取ってみると、例外なく大きな文字と魅力的な挿絵が目につきます。これらが読むという行為の敷居を低くし、子どもの「読んでみよう」「読みたい!」という意欲を引き出しているのでしょう。くれぐれも、年齢相応以上の本を無理に読ませることはしないようにお願いします。

 また、“読み聞かせ”も本が提供してくれる想像の世界のすばらしさを子どもに味わわせ、本を読めるようになりたいという欲求を引き出すうえで大きな効力をもつことで知られています。実際、今一生懸命お子さんに読み聞かせをしておられるおかあさんもたくさんおられることでしょう。

 玉井式は、楽しいアニメーションのストーリーの続きを文章化するという画期的なアイデアにより、長文を読み通す子どもの育成に成功しています。既知のストーリーの続きを読むことが、状況をイメージしたり、先を予測しながら読んだりする高度な知的作業をサポートしてくれるからです。

 さて、ここからが私から保護者の方々にお伝えしたいことです。私の所属する学習塾で「国語的算数教室」の導入を検討する際、上記のような素晴らしいアイデアをより活かすためには、子どもをただ教室に通わせるだけでは成果を十分に引き出すのは難しいだろうと思いました。そこで、どうしたらよいかということについて提案させていただこうと思った次第です。

 「ものがたり算数」で楽しんだストーリーの続きが文章化されていることで、子どもの食いつきやイメージ想起がよくなると言っても、読むこと自体に難渋する子どもを救うことはできません。つまり、ある程度読みの態勢ができていないと、読もうという意欲を引き出すには至りませんから、長文を読み取るレベルまで引っ張り切れないのです。

 ですから、玉井式の「国語的算数教室」に通って十分な長文読解力をつけるには、読みの態勢づくりのためのバックアップを誰かがしてあげる必要があります。

 そこでご提案したいのは、玉井式テキストの「よんで考えよう」の文章を丁寧に音読することです。また、「できたかな?プリント」の素材文章(これが「ものがたり算数」のストーリーの続きなのですが)も、家庭で繰り返し音読することをお勧めします。

 音読は子どもにとって既知の音声言語と、新たに学ぶことを要請された文字言語との対応関係をつなぎ合わせるために必須の作業です。この作業を丁寧に繰り返すことで、初めて正確でスムーズな黙読力が身につきます。多くの子どもは、それを十分にしないまま黙読に移行するため、本を 1 冊一気に読んで楽しめるような読みの能力を備えることができません。

 音読を継続的に行えば、どのような子どもでも3か月ほどで効果が表れ始めます。そうなると、読むときの負担が軽減されるうえ、快適にスムーズに文章の意味を理解できるようになりますから、必然的に読書意欲がみるみるうちに高まっていきます。おたくのお子さんは、こうした流れをちゃんと築いておられるでしょうか。

H,S

 

2016.3.25 自分に自信がもてない日本の子ども

 自分に対する自信をもつこと、自分の能力への自負をもつことは、人生を実りある建設的なものにするうえで必須と言えるほど重要なものです。一般に、このような気持ちのことを“自尊感情”と言います。

 なぜ自尊感情が重要かは、論を待たないほど自明のことでしょう。人生には様々な困難が伴いますが、それを耐え凌いだり乗り越えたりするためには、自分の能力を信じる気持ちが根底に求められます。

 まして経済や人のつながりがグローバル化した今日においては、考えかたも文化も違う他国の人々との交流が必須となります。そういう場で自分を通用させるためには、自分に対するプライドや日本人としてのアイデンティティをもたないと話になりません。その意味において、子どもの自尊感情をいかに育むかということは、子育ての重要な柱の一つと言ってよいでしょう。

 ところが、近年日本の子どもの自尊感情が他国の子どもと比べて著しく低いことが問題視されています。TVや新聞、雑誌などにおいてしきりに話題にとりあげられているので、ご存知のかたもおありでしょう。次の資料は、高校生の自尊感情の国際比較調査の結果を示すものです。


 質問の内容は、いずれも自分に対する信頼の気持ちや自信につながるものです。よって、各質問について「そうだ」という回答が多いということは、自尊感情が高いとみてよいでしょう。日本の高校生について見てみると、「感情に走らず、仕事や勉 強に集中できる」という項目以外は、すべて4か国中でいちばん低い数値を示しています。

 「この調査は高校生だけど、小学生はどうなのだろう」と思われたかたもおられるかもしれません。次のような資料がありますのでご紹介しておきましょう。

 勉強が「とても得意」「かなり得意」の割合
とても得意 かなり得意 普通 やや苦手 とても苦手
東京
ソウル
北京
オークランド
サンパウロ
ミルウォーキー
6.9
6.6
5.7
12.8
23.7
30.2
14.7
18.3
36.8
41.5
48.3
41.9
53.5
59.0
46.1
39.5
21.7
24.2
17.2
12.2
10.1
4.7
5.5
2.2
7.7
3.9
1.3
1.5
0.8
1.5
資料:ベネッセ教育研究所(2006)

 この調査においても、日本の子どもは一番低い数値(「とても」と「かなり」の割合)を示しています。調査に関わった日本の学者は、調査対象国でいちばん自己評価が高かったアメリカに出向き、学校の授業を見たり、実際の学力の状態をつぶさに調べたりしたそうです。すると、意外な事実が判明しました。「調査結果」と、「実際の学力」が逆の関係になっていたのです。

 学力の自己評価が低い東京の子どもは、概ね授業をしっかりと聴き理解していました。ところが、アメリカの教室では、自己評価が高い割には授業を理解できていない子どもが数多く見られたのです。その一方で、計算に悪戦苦闘している子どもでも、「算数は得意?」と尋ねられると、「うん、得意」と答えていたそうです。また、一般に自己評価が高い国では、わからないことを苦にしたり、学力の状態を卑下したりする子どもが少ないという傾向がありました。さらには、学力的にさほどでないにも関わらず、「勉強は得意だ」と答える子どもが多かったようです。

 どうやら外国では、学力が客観的に高いかどうかに関わらず、取り組んでいること自体に子どもが誇りをもち、「自分は算数が得意」などの気持ちを抱く傾向があるようです。しかしながら、日本ではそうではありません。よい成績をあげていても、「もっと上の子がいる」ということを意識し、自己評価を高めることができません。ですから、勉強ができても自己評価につながらないのです。

 「自己評価が低くても、勉強ができればいいのではないか」と思う人もおられるかもしれません。しかし、自己評価が低いと、ものごとに取り組むエネルギーが高まってくれません。また、何かをやり遂げようと取り組む際の決断力や実行力が湧きあがってきませんし、さらには集団を引っ張っていくリーダーシップも育ちません。

 そこに日本の子どもの弱点があるように思います。客観的には「勉強のできない子」でも、取り組んでいることに誇りを抱き、「自分はできる!」という自信をもつ。そういう子どもはやがて大学に進学して自分が掘り下げて学びたい対象が絞られてくると、すばらしい勢いで学び始めます。

 アメリカやヨーロッパの学生は、「よく学ぶ」と言われます。それは、前述のような流れがあるからではないでしょうか。大学に入ると安心して遊び始める日本人とは対照的です。

H,S

 




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