子どもの才能は生まれつき?
いいえ、家庭の関わりが大きな作用を果たします。


2015.09.04 玉井式は“リケジョ”への近道? その1

 最近、“リケジョ”という言葉をよく耳にします。調べてみると、2010年ごろからメディアで使われるようになった言葉だそうです。

 企業の研究部門で働く女性が増えていること、理系分野を志向する女性が増えていることなどから、このような言葉が生まれたのでしょうか。日本の人口減が今後確実に進んでいくことを視野に入れると、理系の産業部門への女性の進出は必須であり必然のことだと思います。ちなみに、リケジョのほかにドボジョ(土木女子)という言葉もあるそうですね。こちらの産業部門にも、女性の活躍が待たれているということでしょうか。

 新聞によると、政府も理工系の女子学生を増やすための産学官の新組織を立ち上げるとか。リケジョを志向する中学高校生に情報を発信するとともに、理工系の研究分野で活躍できる女性の育成に向けた補助制度を導入することなどが検討されているようです。

 実際、私立の女子中・高一貫校の先生とお会いすると、ほとんど異口同音に「大学進学にあたり、理工系の学部を志望する女子生徒が年々増えています」とおっしゃいます。特に、偏差値の高い学校では、医学部志向の女子生徒が多いようです(校長先生から直接伺いました)。少子化がとめどなく進み、いろいろな産業分野で人手が不足する事態が訪れており、女性の優秀な人材の活躍の場も確実に広がりつつあるのでしょう。

 こうした社会の様子を見るにつけ、私の子どものころと比べて学歴に対する考えかたが随分変わってきていることを痛感します。かつては、「女子に学問など必要ない」と考える親が多く、女子の大学進学率は男子よりもずいぶん低かったものです。ところが、企業の採用条件に男女差が少なくなったり、学を修めることへの男女差別的な風潮が弱まったりするなかで、今では大学進学率は男女とも50%前後と差がなくなりました(最新の情報によると、大学進学率は約52%に達しているそうですね)。

 もう一つ、昔と今とで大きな変化を感じるのが、男女の教科適性に対するとらえかたです。かつては、「数学などの理系教科は男子のほうが圧倒的に強い」と言われていました。しかしながら、大学進学にあたって理工系学部志望の女子が増えていること、医学部への進学を目指す女子生徒が増えていることは、従来の一般通念が偏見に過ぎなかったことを示唆しているように思えてきます。

 私の勤務している学習塾は中学受験を専門としていますので、そこでの男女の成績を見れば「実際はどうなのか」について参考になるかもしれないと考え、試しにちょっと調べてみました。

 調べたのは5年生です。6年生は男女別のテストを実施していますし、4年生は学習内容がまだ単純で男女の適性の違いを云々できるほどのデータが得るのは難しいと判断しました。5年生のテストの受験者は毎回男女合わせて500名弱(ほぼ全員が中学受験をします)で、テストごとの平均点の男女差がどれぐらいあるかをざっと調べてみました。

 その結果ですが、テストの平均点の差は毎回1〜3点程度で(8回分のテスト結果を調べました)、わずかに男子のほうがよいものの、大きな違いは見られませんでした。このデータが一般に適用できるものかどうかはわかりませんが、私の所属する学習塾ではこのような結果となりました。

 ちなみに、30年前はもっと男女差が大きく、男子のほうが女子よりも5点以上平均点が高かったと記憶しています。男女差が縮まった理由ですが、学問を修めることに関する男女差別的な傾向が薄まったことと大いに関係があるように思います。

 みなさんは、お子さんの将来の進路について何か具体的なビジョンをもっておられるでしょうか。多くのかたは、「親の漠たる希望はあるが、将来どのような仕事に就くかは本人次第だ」とお答えになるでしょう。それでもここで押さえておきたいことは、「将来の進路の選択肢は多いほどよい」ということです。つまり、早くから得意不得意をつくらない、苦手教科をつくらないということが大切だと思います。

 話が長くなりそうなのでひとまず今回はここで終了とさせてください。次回は、将来理工系の道に進んでいける可能性を広げていくうえで、玉井式の幼児〜低学年児童向けの講座は役立つかどうかについて検証してみたいと思います。

H,S

 

2015.09.11 玉井式は“リケジョ”への近道? その2

 前回は、理系分野への女性の台頭とその背景について若干の考察をお伝えし、さらに算数の学力の男女差について調べてみたことをご報告したところで終了しました。

 そこでいよいよ本題に入ります。玉井式の講座(「国語的算数教室」と「図形の極」)は、算数の感覚的素養(センス)を磨くことを指導目標の一つにしていますが、それはどの程度成果をあげているのでしょうか。私の勤務する学習塾は「国語的」のほうだけを導入しています。こちらの講座は「イメージング力」の育成を謳っています。このイメージング力の育成が、子どもたちの算数学力にどのような作用を及ぼしているでしょうか。

 玉井式に通った児童が、玉井式を経験していない児童よりも相対的に高い算数学力を示していれば、保護者の方々に明るい見通しを提供できるでしょう。特に女子児童については、先々“リケジョ”になれることへの期待も膨らむのではないでしょうか。

 私の勤務する学習塾は、2012年から正式に「玉井式国語的算数教室」を導入しています。当時2年生だったお子さんも、今は5年生になっています。人数を丸ごと公表するのは控えさせていただきますが、先ほどの調査と同じ5年生の算数の成績(女子児童)を調べてみました。

 すると、夏休みまでに実施した合計8回のテストのうち、平均点において100点満点で10点以上の優位性が見られたケースが何と4回もありました。下の表は該当する回の平均点を示したものです。これは一学習塾で調べた結果ですから、あくまで参考程度に留めていただきたいのですが、それでも玉井式の講座の効果は十分に納得していただけると思います。

単元玉井出身者(女子)全体平均(女子)
小数のしくみ、小数のかけ算79.2767.88
小数のわり算71.8759.08
逆算、樹木算68.2955.41
平行四辺形、三角形、台形 他67.0054.73

 十分な検討による報告ではありませんが、子どもたちが躓き易い単元や、イメージ操作を必要とする単元などについては、玉井式の教室で学んだ経験が十分に功を奏していると言ってよいでしょう。

 なお、先ほどお伝えした5年生の算数のテスト結果で、わずかではあるものの8回とも男子のほうがよい成績だった理由についてお伝えしていません。このことについて、これから少し考えてみたいと思います。

 算数の指導をされた人なら経験済みでしょうが、図形や速さなどの単元は女子児童が苦手とすることが多く、なかには問題を見ただけで戦意を喪失し、根拠のない適当な数を解答欄にあてずっぽうで書き入れる子どももいます(かわいそうですが、正解を得ることはまずありません)。こうした傾向が女子に強いことに関しては、どのように解釈したらよいでしょうか。

 太古の昔から、男は狩りに出て動物と闘ったり、危険な大型動物が近づいてきた際にはいち早く察知して家族や集団の安全を図ったりしてきました。それが、男のほうが形あるものを瞬時に識別したり、動くものを見分けたりすることに優れる原因になっているのではないでしょうか。

 このような特徴は今も引き継がれています。男の子は、幼いころから形のある物に興味をもち、いじったり壊したり、組み立てたりする遊びに延々と興じることが多いものです。このような体験が自然と流動性知能(図形や速さなどの単元に関わる)の発達を促しているのだと思われます。

 一方、女の子はそういう遊びに興味を示しません。おもちゃ遊びなどよりも、おかあさんごっこや人形遊びなどのほうに遥かに惹かれる傾向が強いようです。これらも、大昔から女性が引き受けてきた役割と通じているように思われます。

 以上のことは、かつて読んだ書物にあったことを思い出したものです。こうした男女の性差が、算数・数学のなかの特定の分野(流動性知能に関わる分野)において男女差を生み出しているのではないでしょうか。先ほどご紹介した5年生の算数でのテスト結果も、そのことと関係があると思います。

 ただし、テストの単元は流動性知能を問うものだけではありません。たとえば、平面図形の性質、図形の面積などの図形単元のほか、小数のかけ算、小数の割り算、逆算、決まりを見つけて解く課題、約数・公倍数などの単元もあります。テスト担当者に質したところ、「昔より明らかに男女差は少なくなったけれど、応用力を試す課題になると、若干男子のほうが正解者は多くなる」というような返事がありました。したがって、まだまだ継続的に調査しないとわからない面も少なくありません。今回ご提供した情報は、「男女差は確実に少なくなっている」といったレベルで参考にしていただくようお願いします。

 なお、男子については算数のテストデータと玉井式の体験の効果の関係が明確に検証できていません。これは、男の子特有の流動性知能の発達を促す遊びの体験に個人差が大きく、それがテスト結果にかなり入り込んでいるからではないかと推察しています。

 ご承知のように、男子のなかにも閃きやセンスが問われる課題を苦手とする子どもが一定数います。逆に、その種の課題が大好きで、飽きることなく取り組む子どももいます。こうした子どもたちにとっても、玉井式の講座は「眠りかけた才能を引き出す」「恵まれた才能をさらに伸ばす」という意味において、大いに貢献できると確信しています。

 繰り返しになりますが、ここまでお伝えしたことは私の仕事場での体験に基づくものですから、あくまで参考程度に留めていただきたいと存じます。ですが、少なくとも玉井式のプログラムに基づいて算数の学習にしっかり取り組めば、女の子が苦手にしがちな単元(流動性知能に関わる分野)の才能を伸ばすことは間違いなくできるでしょう。

 玉井式の算数プログラムを楽しみながら、“リケジョ”になるための第一歩を踏み出しましょう!

H,S

 

2015.09.18 子どもを伸ばす親のちょっとした違い

 あるとき、「国語的算数教室」の授業担当者に「学習成果が上がり、どんどん学力を伸ばしている子どもに何か共通点はありますか?」と尋ねたところ、意外な返事が返ってきました。

 私は、子どもの授業姿勢や取り組みについての返事を予測していたのですが、その担当者は「できたかな?プリント」の○つけのしかたや、赤色で記入された励まし、つまり親の関わりかたについて着目したようでした。子どもの勉強に親がどう関わるかが、成果に多大な影響を及ぼすというのです。

 プリント課題の答えが合っていたとき、多くのおかあさんは花丸などで報いておられると思います。がんばりの利く子どもの親は、花丸にも子どもの前向きさを引き出そうと工夫しているのだそうです。たとえば、花のなかに笑顔を書き入れたり、葉っぱや茎も描いて擬人化し、親の愛情や応援の気持ちを上手に伝えたり。また、必ず○つけ後のコメントが書き入れられているそうです。

 「できたかな?プリント」の○つけは、どの家庭のおかあさんも熱心にしておられることと思います。また、花丸を使って激励することもたいがいのかたはしておられることでしょう。ただし、子どもの取り組みの結果がどのようであっても、常に愛情深く熱心に励ますことを忘れないようにしておられるかどうかという点に、若干の違いがあるのではないでしょうか。

 なかには、子どもの誤答に対して大きなバツ印を書き入れているおかあさんもおられます。怒りを込めた激しいバツ印もあると言います。「こんな易しい問題、どうして間違えるの!」と、厳しい叱責のコメントが書き入れられているのを見たこともあります。いくら注意してもミスを続けるわが子に、地団太を踏む思いを抑えきれなかったのでしょうか。しかし、こういうやりかたは子どもを勉強嫌いにさせるマイナス効果をもたらすだけです。

 次の4つのうち、小学校の低学年児童の学習意欲に最も大きな影響を与える要素はどれだかご存知でしょうか。

  1.自己向上心(解けたら嬉しい、もっと知りたい)
  2.規範意識(親の期待に応えたい、親の言うような人間になりたい)
  3.目標達成に向けた意識(研究者になりたい、○○大学へ進学したい)
  4.賞罰(ほめられたい、褒美がほしい)

 実は、2〜3年生までの子どもの学習意欲に最も大きな影響を及ぼすのは、4の「賞罰」です。「親にほめられたい」という気持ちが、いちばん大きな作用を果たすのです。低学年児童にとって、「親は絶対的存在」なのだということがよくわかりますね。

 このことからもおわかりでしょう。小学校低学年の子どもは親を見て行動しています。そして、親ががんばったことを認め、ほめてくれることが何よりもうれしく、「次もがんばるぞ!」という意欲につながるのですね。先ほどお伝えしたように、取り組み終えた「できたかな?プリント」に愛情たっぷりの花丸を書き入れ、承認や励ましのコメントが添えられることは、何よりも子どもの意欲を駆り立て、次なる努力を後押しするのです。こういうことが絶えず続けられた家庭の子どもは、間違いなく優秀な人間に育つことでしょう。

 なお、1の「自己向上心」は「内発的学習意欲」と言われ、人間の学習活動において最も重要なものとされています。小学校の低学年の段階においても、学習意欲を支えるうえで「賞罰」に続く2番目の要素となっています。知りたいから学ぶ、やり遂げたときの喜びが忘れられないから学ぶ。そういった前向きな学習姿勢は生涯を通じてとても大切にすべきものです。こうした前向きな姿勢に基づく学習を尊重し、子どものがんばりをほめる。そういうことの繰り返しが子どもの望ましい成長を引き出すポイントではないでしょうか。

 なお、2の「規範意識」に基づく意欲は、実は小学3〜4年生頃から思春期を迎えるまでの期間、学習意欲の源として最も大きな働きをします。また、3の「目標達成に向けた意識」は、2にとって代わって思春期以後は一番の要素になっていきます。この変化は、子どもが大人に近づいていくうえで必然のことです。このことについて知っておくことは、これからの子育てにおいてとても役立つと思いますので、また機会を改めてお伝えしようと思います。

 ※学習意欲を支える4つの要素に関する説明は、学習心理学者の著書を参考にしました。

H,S

 

2015.09.25 叱って勉強させるのはよくないの?

 前回の記事では、子どもの学習の取り組みにおかあさんが大きな影響力をもっていることを取り上げました。そして、子どもの学習意欲が高まるのもしぼむのもおかあさん次第の面があるということを確認しました。

 その際、低学年児童の学習意欲の源として最も大きな要素は「賞罰」であるということを、学者の研究結果を引用してお伝えしました。おかあさんにほめられることは、この年齢期の子どもにとって最も大きな発奮材料なのです。こうした低学年期の子どもならではの特徴を踏まえ、わが子のやる気を高めるための工夫をいろいろ試みていただきたいと思います。

 ところで、「賞罰」というからには「罰」のほう、すなわち「叱る」「罰を与える」ということも子どもの学習意欲の向上に役立つということなのでしょうか。私は前回の記事において、「賞罰」を「子どもの努力を承認すること」「がんばりをほめること」としてご説明しました。それは、「叱る」ということの効果は、日頃しっかりとわが子をほめ、親子の信頼関係を築いているということが前提にあり、「ほめること」と同列に扱うべきでないと判断したからです。

 前回の記事に書きましたが、子どもはバツを食らうのが大嫌いです。自分の書いた答えに大きなバツ印をされると、自分を否定されたような気持ちになってしまいます。「でも間違っているんだから」と大人は思います。しかし、それでも子どもは大きなバツを受け入れたくないのです。まして、「また同じミスをしたの?いい加減にしなさい!」などと厳しく咎められると、すっかりやる気を失い、意欲をしぼませてしまいます。

 あるとき、男の子のおかあさんから突然退塾の申し出がありました。家庭のお考えなら仕方がありませんが、ともかく理由を確認しようと最後に親子面談をさせていただくことにしました。

 事前に、授業を担当していた者に「思い当たる節はないか」と尋ねてみたのですが、「楽しそうに授業を受けてくれていたので、全く予想もしていませんでした」と言います。それから、「ただ…」と、少し小声になり、「提出してもらった家庭学習用のプリントに、赤い大きなバツ印が乱暴に書いてあることがよくあります」と報告してくれました。

 面談の日、おかあさんは、「うちの子はどうもやる気を失っているようです。家でプリントをやらせようとしても、最近は嫌がるようになり、言うことを聞いてくれません」とおっしゃいました。お子さんと話をすると、おかあさんのほうをチラチラと気にして何も言いません。そこで、「塾の授業は楽しく受けてくれていたよね」と言うと、こっくり頷きました。そこで、家でやっているプリント課題だけど、間違えたとき、おかあさんにバツをされるのが辛いんじゃない?」とズバリ尋ねてみました。

 すると、しばらくためらったのち、彼は小さくうなずきました。しかしながら、おかあさんはそんなわが子の心の内を察する様子もなく、「今はちょっとやる気を失っていますから、無理に通わせても効果がないと思うのです。とりあえず、退塾ということにさせてください」とおっしゃいました。

 教室の授業を楽しく受けている子どもに勉強嫌いはいません。この場合、どうすればこの男の子は家でも張り切って勉強したでしょうか。

 おかあさんはバツをする前に、「あれ、ちょっと見てごらん。ここ、これでいいんだっけ?」と子どもに問いかければよかったのです。そうすれば、「あっ、ちょっと待って!」とプリントを見返し、自分のミスに気づき、すぐさま直したのではないでしょうか。そうすれば子どもの気持ちも傷つくことはありませんし、何よりもやる気が高まります。プリント学習はテストではないのですから、バツを受け入れられないタイプの子どもにはそうした対処をすればいいのです。

 また、この男の子のおかあさんは、子どものがんばりを認めてほめることの重要性に気づいておられませんでした。「ちゃんとできて当たり前」といった気持ちでプリントの○つけをされていたのではないかと思います。「子どものやる気をサポートするのが親の役割なのだ」という自覚をもち、もう少しほめてあげていれば状況は違ってきたのではないでしょうか。

 子どもたちの多くは、「おかあさんはちっともほめてくれない」と言います。おかあさんがたに伺うと、「いいえ、かなりほめているつもりです」とおっしゃいます。どちらがほんとうなのでしょうか。

 おそらく、どちらも本音であり事実なのです。子どもはおかあさんにほめられることを糧に意欲を高めます。だから、今よりもっともっとほめてもらいたいのです。おかあさんだって、全くわが子をほめないわけではありません。ただ、ほめる基準が子どもと一致していないだけなのです。

 結果に関わらず、がんばるわが子を大いにほめてあげてください。そんなおかあさんを子どもは尊敬し、信頼の気持ちを高めます。無論、子どもは親の我慢の限界を確かめるような行為に及ぶようなこともあります。突然投げやりになったりすることもあります。そんなときは厳しく叱ればよいのです。日頃ほめて築いた信頼関係が功を奏し、叱った効果はてきめんに表れることでしょう。

H,S

 




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