更新随時!玉井満代ブログ

子のイラストバックナンバー

2018.4.20

親子の信頼関係を築く会話とは

低学年児童をもつ親の大半は、「私はわが子の望ましい成長のためにがんばっている」と思っておられます。そして、「子どもとはよい関係にある」と信じておられます。

それでも、「今日は些細なことでわが子を叱ってしまった」「つい、感情的になって怒鳴りつけてしまった」と後悔することもときどきあり、そんな日の翌日は「今日はわが子を叱らずに1日を過ごそう!」と決意します。――これが多くの親の現実であろうと思います。 しかしながら、「もう叱るまい」と思った矢先に、また叱ってしまう。そんなことはありませんか?「子どもは親の所有物だ」と思っているおとうさんおかあさんはおられないと思いますが、心の片隅に「支配すべき対象」という意識があるのかもしれません。

親子のイラスト

こういう状態のまま、いつの間にかわが子が年齢を重ね、じきに小学校を卒業する段階が訪れたとします。そのときの親子関係がどうであるか想像できるでしょうか。私は中学受験指導の現場に16年ほど立っていました。そのうちの大半は6年生の受験指導を担当していたのですが、受験が近づき、親子ともどもストレスが溜まるころ、いつも子どもたちから耳にしていたのは親への不満や不信、怒りの声でした。「いつも、怒鳴ってばかり」「ボクをぜんぜん信用していない」「自分のことを棚に上げて、よくあんなことが言えるな!」とまあ、こんな具合でした。

無論、中学受験をする子ども、それも難関をめざすような子どもは賢いですから、そういった不満を漏らしつつも、不当とも思える叱りかたも期待や愛情ゆえのことだと理解しているに相違ありません。しかしながら、一線を越えるような激しい衝突を起こしたり、受験が失敗に終わったりすると、修復困難な親子関係に至ってしまうこともないではありません。例え親の言い分が100パーセント正しかったとしても、子どもをよい方向へ導く効果のない言葉は教育的ではありません。小学生いっぱいまでは、表面上子どもは親に従っているように見えても、思春期に至るとある日突然親と口を利かなくなることがあります。そうなると、受験をさせたことが何ら意味をなさなくなってしまいます。

のっけからネガティブなトーンの話になってしまいました。お子さんが小学生いっぱいまでに強い信頼で結ばれた親子関係が築けたなら、生涯互いの信頼関係が崩れることはありません。そのためのキーワードとなるのが「会話」です。日常生活において「親子のコミュニケーションの媒介となるのは主に「会話」だからです。今回は、お子さんが児童期を終えるまでに強い信頼で結ばれた親子関係を築くための会話のありかたに着目し、どんなことを心掛けるべきかについてともに考えてみたいと思います。

ある臨床心理学者・セラピストは、
子どもとのコミュニケーションのありかたについて、
次のようなポイントを掲げておられます。


  1. 親の言葉かけが、親だけでなく子どもの
    自尊心も傷つけないものであること
  2. 子どもに忠告や指示を与える前に、
    まずは理解を示すこと

ただし、子どもはいったん感情を高ぶらせると、誰の言葉も耳に入らなくなってしまいます。その一方で、自分のなかで起こっていること、自分がそのときに感じていることを、親に理解してもらいたいと強く願っています。子どもは自分が経験したことを全部大人に説明しないまま理解してもらいたいのです。そもそも、ちゃんと説明しようにも、ことの経緯を順序立てて大人に説明するだけの語彙も表現力ももちあわせていません。前述の学者は、この点について次のような見解を示しておられます。

子のイラスト

「先生が私のことをどなったの」と子どもが言うとき、私たちはその子からもっと詳しい話を聞き出そうとしなくていい。「いったい、何をしてどなられたの? 先生がどなったってことは、あなたが何かをしたからでしょう? 何をしたのよ?」などと言わなくてもいい。「あら、かわいそうに」という必要さえない。子どもの感じている痛みやとまどいや怒りの感情を、私たちが理解していることを示さなければいけないのだ。

子どもとのコミュニケーションが今ひとつうまく行かず、「どうしたものか」とため息をついている人はありませんか? そんな人がまずとるべき行動。それは、自分の子どもへの対応のしかたを振り返ってみることです。子どもの行為に対して、咎め立てしたり叱ったりする前に、子どもの気持ちを汲み取る言葉を投げかけているかどうかが重要なのです。

親は、問題の相手がわが子だと遠慮のない言いかたをします。そのいっぽう、外で他人の過ちやしくじりを前にしても露骨に批判することはありません。それどころか、「大変でしたね」「何か私にできることがあれば、お手伝いしましょうか」など、思いやりの言葉を投げかけます。間違っても、「あなたはうっかり者ですね」「どうしょうもない人ですね」などとは言いませんね。前出の学者は、「親はそれと同じようにわが子に接することが大切だ」と述べ、たとえば次のような言葉かけを勧めておられます。

子どもの気持ちを理解していることを伝える言葉


  • そうなんだ。とても恥ずかしかっただろうね
  • それじゃ、とても腹が立ったでしょうね
  • その瞬間、友だちを憎らしく思ったでしょうね
  • あなたにとって最悪の日だったわね

以上からもわかりますが、子どもの逸脱行動に対しては、すぐに咎めたり叱ったりせず、そのような行為に及んだ子どもの気持ちを汲んだ言葉を投げかけることが大切です。「親は何でも原因を追及し、自分を叱ろうとする」と、子どもに思わせてしまうと、子どもと腹を割った話し合いはできなくなってしまいます。

 そして、批判や叱責の代わりに理解を示すことが、何にも増して子どもの怒りを静める効果をもたらすものです。それは、決して子どもを甘やかしたり増長させたりすることにはなりません。むしろ、親が自分の気持ちを理解してくれるということを確かめたことで、子どもは「親の期待に沿おう」という気持ちを強くもつようになります。つまり、親への信頼の気持ちを引き出すのですね。

もし、「最近、子どもが口答えをして困る」と思っているかたがおられたら、上記のことを実行してみてはいかがでしょうか。お子さんの態度に変化が生じるかも知れません(きっとそうなります)。子どもへの向き合いかたが変わると、子どもはたちどころに気づきます。それが、子どもの願っていたことだったとしたら、見る見る子どもの態度に変化が生じるに相違ありません。

H.S